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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第19ステージ】2勝目のボウマンがオランダ人初のジロ山岳賞獲得「山岳ジャージを着て勝利をつかむことができたなんて、最高だよね」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかガビリアが「もしも」のためにスプリントしたのだとしたら、ボウマンは「後悔しないため」に、ここまで山頂スプリントを繰り返してきた。今大会5度目の逃げに乗ったこの日も、決して例外ではなかった。ステージ半ばに組み込まれた2つの3級峠では、他の逃げ選手たちに最大限の警戒を払いつつ、確実に先頭通過を取りに行った。
「すでに山岳ジャージを獲得したことがあるけれど、ほんの数ポイント差で逃したこともある。だから確実に取れるところでは、確実に取っておきたかった」(ボウマン)
この時点では、数字の上では、いまだ逆転される可能性も残っていた。しかも、もしかしたら、逃げ切れないかもしれなかった。ゆっくりとペダルを回していたイネオスから、残り127km、総合2位ジャイ・ヒンドレー擁するボーラ・ハンスグローエが主導権をむしり取ると、突如としてスピードを上げたからだ。
主導権を握るボーラ・ハンスグローエ
第14ステージの恐怖が蘇る。あの日は凄まじい行軍で一気にイネオス勢を蹴散らし、カラパスを孤立無援状態に追い込んだ。この日もすぐに山岳補佐リッチー・ポートが、後方へと脱落していった。しかし体調不良のせいで、37歳大ベテランがそのままステージ半ばで「人生最後のジロ」を去って行った代わりに、他のアシストたちはエースの側から決して離れなかった。
また1週間前のボーラは、逃げ集団の望みをもあっさり握りつぶしたが、この日はタイム差がまるで縮まらない。逃げ集団に2人ずつ送り込んだチームが、素晴らしい牽引作業を行ったせいだった。
TT巧者アッフィニはボウマンのために。普段はデマールのための集団制御役を務めるクレモン・ダヴィは、昨大会マリア・ローザ3日間のアッティラ・ヴァルテルのために。そして自らも名フィニッシャーでもあるダヴィデ・バッレリーニは、昨ジロの「白い道」区間覇者マウロ・シュミットのために。3人はチームメートのために骨身を惜しまず働いた。一旦は8分にまで詰められた差を、例の「最後から2番目の山」、つまり隣国スロベニアにそびえる1級峠で再び9分半にまでこじ開けた。
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