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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第16ステージ】ジロの名峰モルティローロを制圧したヤン・ヒルトがグランツール区間初勝利「僕は最高に嬉しくて、キャリアを終えたくなんかない!」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかしかし、37歳になった「メッシーナの鮫」は、無理強いをしなかった。スピードはいつしか緩まり、イネオスは再び4人のアシストと共に制御権を取り戻した。おかげでポッツォヴィーヴォも一旦は1分近い遅れを埋めることに成功した。
アレンスマン、ボウマン、ケムナ、バルベルデ、カーシー、ヒルト、ワウト・プールスと7人に絞り込まれた逃げ集団から、小さな上りでボウマンが脱落したのだとしたら、ケムナはその下りを利用して他を突き放しにかかった。さらには50秒ものリードを手に、今区間最後の1級峠を上り始めた。
「この先に勾配の厳しい場所があることは分かっていた。そこに差し掛かるまでは、むしろ他の選手と協力しあって行きたかった。でも、ケムナがかなり先へ行ってしまったから、もはやこれ以上は待てなかった。自分で動かなきゃならなかった」(ヒルト)
最後の1級峠は、後半7kmにも渡って平均勾配が10%超が続く。その難ゾーンに差し掛かる直前に、アレンスマンが追走へと乗り出した。そして、残り12.5km、まさにその10%超ゾーンの開始と同時に、ヒルトもまた毅然として加速を切った。
プールスはすでに後方にいる仲間たちの援護へ下がっていた後だった。勝利経験豊富な42歳バルベルデは、「自分のテンポで上り、被害を最小限に食い止める」ことを選んだ。一方カーシーは前を追いかけ始めたが……最終的にはバルベルデがマリア・ローザ集団で賢く1日を終えたのに対して、さらに後方へと沈むことになる。
プロ人生で両手を挙げたのは2回だけ(+2回の総合優勝)で、その2回ともが山頂フィニッシュだったというヒルトは、つまりフィニッシュ手前6.2kmの山頂到着前に前走者2人を回収したかった。望み通りに残り10kmでアレンスマンを、残り8.6kmでケムナをとらえた。さらには11%超の激勾配を利用して、残り8km、2人を振り払った。
「今までのグランツールでは、それほどたくさん逃げに乗る機会をもらえたわけではなかった。でも、現在のチームでは、より積極的に動く自由を与えられている。だから今大会に向けてしっかり準備してきた。体重も落として、高地合宿も組んだ。調子はすごく良かった」(ヒルト)
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