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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第14ステージ】痛みと失望を乗り越え、総合の夢潰えたサイモン・イェーツがジロ通算6勝目!「ここ数日はリタイアしようかと悩んできた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかボーラの猛攻は、むしろプロトンをカオスの渦に突き落とした。総合5位につけていたギヨーム・マルタンや10位アレハンドロ・バルベルデは、いつしか後方へと振り落とされた。総合3位ジョアン・アルメイダも、一旦は遅れを取り、15kmにも渡る孤独な追走を余儀なくされた。
なによりレース先頭を奪い取る頃には、すでに同集団の人数は20人を切っていた。マリア・ローザ姿のフアン・ロペスや総合2位リチャル・カラパスは孤立無援の状態に陥っていたというのに..ボーラはいまだ5人で隊列を組んでいた。
そして残り67km、すっかり小さくなった集団の先頭へと、ウィルコ・ケルデルマンが進み出た。トリオエースの1人としてジロに乗り込みながら、やはり第9ステージに、不遇なメカトラのせいで総合争いから弾き飛ばされたボーラのエースナンバーが、総合4位ヒンドレーと総合8位エマヌエル・ブッフマンのために牽引作業へと乗り出したのだ!
最終盤はトリノを起点としたいわゆる周回コースで、ミラノ〜トリノでお馴染みスペルガ寺院へと2度よじ登る。その2度目のスペルガ登坂の麓まで、ケルデルマンは黙々と高速リズムを刻み続けた。つまり延々35kmにも渡って、後輩たちのために見事な献身を尽くした。
強さを見せたリチャル・カラパス
フィニッシュ手前32km、先頭集団を12人にまで小さく絞り込んだケルデルマンが仕事を終えると、いよいよヒンドレーが加速を切る番だった。ブッフマンも鋭いアタックを2発お見舞いした。ただカラパスや、さらには今季限りの引退を発表したヴィンチェンツォ・ニバリは、一歩も引かなかった。
フアン・ロペス、いわゆる「フアンペ」も、10日間守り続けてきたマリア・ローザを失うまいと必死の努力を続けていた。先頭が10人に減り、周りにいる9人全員がグランツール総合トップ5経験者のみという状況になっても、勇敢にしがみついた
しかしスペルガ山頂まで約1.5km、勾配11%という難ゾーンでカラパスが力強い一発を振り下ろすと、ついにロペスは限界を迎えてしまう。
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