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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第12ステージ】マチュー・ファンデルプールを囮に使ったステファノ・オルダーニがプロ初勝利「いつだって勝者のメンタリティは失わずに来た」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか背後では、相変わらず、誰もがファンデルプールの動向に右往左往したた。下りを利用して、オルダーニの普段の練習仲間だというダヴィデ・バッレリーニがスピードアップを敢行し、ファンデルプールも流れに乗じると、みんなが一気に前へ急いだ。ファンデルプールが加速を止めると、周囲はきょろきょろと顔を見合わせた。またしてもMVDPがどかーんと一発を振り下ろすと、ライバルたちはわーっと詰めかけ、マチューが減速すると、他も動きを止めた。
そう、ファンデルプール個人に関しては、ナポリと同じ状況だった。しかしこの日、前を逃げていたのはチームメートのオルダーニだったから……アルペシンにとっては願ってもいないシナリオだった。
「逃げ集団内でのマチューの存在が、間違いなく、勝利を左右した」(オルダーニ)
ファンデルプールへのこだわりを捨て、ようやく4選手が本格的な追走態勢に入った頃には、フィニッシュまでの距離は35kmを切っていた。この日3つ目の山岳で、前の3人との約55秒差を埋めにかかった。ケルデルマン、バウケ・モレマ、ルーカス・ハミルトン、サンティアゴ・ブイトラゴというクライマー4人衆は、山頂では、タイム差を38秒にまで縮めた。
しかしケルデルマンが「動くのが遅すぎた」と後悔したように、2度とオルダーニ・ロタ・リームライゼの3人組をとらえることは出来なかった。それどころか続く平地で再び差を引き離された。フィニッシュが近づくに連れて少々足並みが揃わなくなった4人に対して、いまだプロ人生で1勝もつかみ取ったことのない3人は、ひたすら無心で前進を続けた。
フィニッシュでロレンツォ・ロータと激しく競り合うオルダーニ
初めてのグランツール勝利に向けて、ようやく3人が駆け引きを始めたのは、残り2kmのアーチをくぐってから。
同じイタリア人同士で私生活でも仲良しのオルダーニとロタを、ラスト1kmの直角コーナーを利用して出し抜きにかかったのは、リームライゼだった。パンチャーの2人は、慌てずクライマーとの穴を埋めた。さらには、まるでトラックのバンク上と見間違うほどに、真っ直ぐな大通りで、3人は壮大な駆け引きを繰り広げた。残り250m、真っ先にスプリントを切ったのも、やはりリームライゼだった。
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