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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第8ステージ】逃げの芸術家トーマス・デヘントが仲間との誓いを果たして1年2ヶ月ぶりの白星「僕にはいまだ勝てる脚があるという証明になった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「いつもの逃げなら誰もが僕の動きを警戒して、僕の後輪に20人が連なるものだけど、今日はみんながファンデルプールやギルマイの動向を伺っていた。だから僕らチームは、それを上手く利用したんだ」(デヘント)
上りを利用して、残り46km、再びファンデルプールが逃げ集団に猛加速を強いた。すぐさま反応できたのはギルマイとマウロ・シュミット、プールスだけ。ところが4人は上手く協調が取れない。そのうちに後方から、少しずつ、ライバルたちが戻ってくる。
再び先頭グループが15人に膨らんだタイミングだった。残り43km、ダヴィデ・ガッブロがするするっと前方へと抜け出した。このタイミングを見逃さなかった。シモーネ・ラヴァネッリとホルヘ・アルカス、さらにはロットの2人組、デヘントとファンハウケがすかさず後に続いた。しかも飛び出した直後から、デヘントは今まで以上に猛烈な牽引を開始した。
一方で後ろに取り残されたライバルたちは、デヘントの思惑通り、動きが取れなくなった。ただ顔を見合わせているだけ。もしくはファンデルプールやギルマイを一緒に連れていくことを恐れて、猛烈に突進しては、すぐに踏み止めたり。ファンデルプール自身が加速しても、やはりイタチごっこの繰り返し。そのうち、前の5人のリードは、40秒にまで開いてしまう。
ようやく事の重大さに気づいた後方たちは、遅ればせながら協力し始めた。残り27kmのシュミットの大きな加速をきっかけに、ファンデルプール、ギルマイ、プールス、マルタンの5人に絞り込まれた第2集団は、その後せっせと先頭交代に打ち込んだ。ラヴァネッリが後退したことで4人になった第1集団だって、デヘントの主導の元、決して共闘態勢を崩さなかった。起伏やカーブでタイム差はヨーヨーのように伸び縮みしたが、残り10kmまで来ても、差は40秒のままだった。
そこから始まる今ステージ最後の上り坂で、デヘントは猛烈に踏み続けた。共に逃げた後輩のファンハウケを、前方へと飛び立たせるためだった。しかし残り7km、上りのてっぺんに来ても、攻撃は出せなかった。後続は山岳巧者マルタンの献身もあり、ついに差を20秒にまで縮めた。
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