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サイクリングニュースの分析記事によると、ライダーの10m後ろをチームカーが走った場合の空気抵抗軽減率は0.23%。これは50kmの距離を走った時に3.9秒のタイム短縮に相当する数値で、今回の13.9kmコースだと約1秒短縮できる計算だそう。たかが1秒、されど1秒。その1秒のタイム差が勝敗を分つ可能性だってあったわけです。
アワーレコード挑戦への期待がかかるガンナ
ちなみにイネオスと同様にスペアバイク満載のチームカーを走らせていたのは、確認できた範囲でクイックステップ・アルファヴィニル、ユンボ・ヴィスマ、ロット・スーダル、ボーラ・ハンスグローエ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ、トタルエネルジーといったところ。ステージ2位のレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル)は満載スタイル、ステージ3位に入ったタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)は1台積載スタイルでした。チームカーにスペアバイクを満載することはUCIルールに抵触する行為ではないものの、公平さに欠けるという意見も出ているため今後UCIが台数を取り締まる可能性はあります。
ステージ優勝したガンナの平均スピードは54.569km/h。追い風基調だった後半の直線区間は常に500W前後で踏み続け、60km/h前後で巡航していたはずです。本当に途方もないスピードですが、ガンナにとって超高速巡航は得意分野そのもの。東京五輪団体追い抜きでは、4人で4kmの距離を3分42秒032で走り切って世界新記録を樹立。スタンディングスタートで平均スピードが64.8km/hなので、実際の巡航スピードは68km/hに迫ります。
そんなガンナに期待したのはやはりアワーレコード挑戦でしょう。現在のアワーレコードはヴィクトール・カンペナールツ(ロット・スーダル)の55.089km。一般サイクリストが1秒もキープできないような55km/hオーバーというスピードで1時間走り続けるという凄まじい記録ですが、ガンナは2021年10月のテスト走行で30分間にわたって57.5km/hで走行済み。さすがに57.5km/hをキープして1時間走り続けるのは無理だとしても、アワーレコード新記録樹立のポテンシャルが十分にあると言えます。ロードレースとの兼ね合いがあるので具体的な挑戦日時は決まっていませんが、今後のトップガンナの動向に注目です。
そして、初めてUCIワールドツアーのステージレースで対決するエヴェネプールとポガチャルは、初日からガンナ以外のTTスペシャリストを退けるという衝撃的な走りを見せ、好位置につけたままティレーノ〜アドリアティコ後半戦へ。「壁」の第5ステージと「山」の第6ステージで果たして両者はどんな走りを見せるでしょうか。
文:辻啓
辻 啓
海外レースの撮影を行なうフォトグラファー
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