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サイクル ロードレース コラム 2007年9月20日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2007】第17ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ファンやメディアが大勢詰め掛け、華やかな雰囲気に包まれたスタート地。約10日後に迫った世界選手権の各国メンバーが、ここのところ続々と発表されているためだろうか。ヴィラージュのあちこちでは、同国出身の選手たちがチームの枠を超えてTVカメラや写真に納まる姿も見られた。そして今日でブエルタを去る、と前夜宣言していたパオロ・ベッティーニ(クイックステップ)は、ポイント賞ジャージではなく世界王者の証ラルカンシェルジャージで現れた。

本来、UCIルール1.3.071によると、世界チャンピオンジャージよりも、ステージレースのリーダージャージが優先されなくてはならない。規則違反は選手個人とチーム両者に高額な罰金が課される。しかしベッティーニにとっては、今日がおそらく2006年世界選手権チャンピオンとして走る最後の公式レース。そして世界王者としてブエルタ区間優勝を狙える最後の機会。だからこそブエルタ開催委員会は、特別にラルカンシェル着用を認めたそうだ。もちろんベッティーニはシュトゥットガルト大会のイタリア代表に選ばれているから、来年も同じジャージを着て走るチャンスは十分にあるのだが!

一方で、残念ながらイタリア代表に選ばれなかったダニエーレ・ベンナーティ(ランプレ)とアレッサンドロ・ペタッキ(ミルラム)は、このブエルタに全てを尽くすしかない。ベッティーニ離脱後のポイント賞争いと、そしてイタリア最速スプリンターの名をかけた区間優勝争い。2つの争いをここスペインで制するために、今ステージ後半はエスケープを執拗に追いかけた。

スタートから10km過ぎで飛び出したのは、フアン・オルモ(アンダルシア・カハスール)とホルヘ・ガルシア(リラックス・ガム)。遠くの丘に昔ながらの風車を臨むラ・マンチャ地方の強風にも、逃げには不利な“峠不在”のフラットステージにもめげず、2人は5分以上のタイム差をつける。しかし様々な思惑でステージ優勝を狙うイタリア人やイタリアチームたちの追い上げで、無念、残り6kmで吸収されてしまった。

そこからゴールまで、とにかく高速トレインで突き進んだのはペタッキ擁するミルラムだ。今大会ここまで2回成功しているこの方式で、最終1kmまでは3人の、最終500mまでは2人の露払い役が“アレ・ジェット”のために道を切り開き続けた。しかしペタッキがいつも通りにエリック・ツァベルの背後から飛び出したとき、ベンナーティが矢のようにその脇をすり抜けた。

「なぜ世界戦代表に選ばれなかったのか、考えてもしょうがない。監督の判断に従うだけさ」とさらり言ってのけたベンナーティは、そのままゴールラインまで誰にもトップを譲らなかった。もちろん世界王者ベッティーニの追い上げを許すこともなかった。ベッティーニには未だ4ポイント足りないが、これにてポイント賞は“暫定”首位。次点ペタッキとは12ポイント差をつけているため、明日からは表彰台で濃いピンク色のジャージを受け取ることができるかもしれない。

ちなみにベンナーティは「今現在、世界屈指の強豪選手だから。彼ならまた世界王者になれると思う」と素直にベッティーニの選出を賞賛した。ただし世界選手権優勝の大本命に名前を挙げたのはステファン・シューマッハー(ゲロルシュタイナー)。好調スプリンターとしての、プライドがちらりと覗いた。


ダニエーレ・ベンナーティ(ランプレ・フォンディタル)
ステージ優勝

この勝利は特別な意味を持つね。イタリア代表監督のフランコ・バレリーニへの格好のアピールになったと思う。残念ながら彼は僕をシュトゥットガルトの世界選手権の選考から外した。でもそれが間違いだったことを証明出来たと思う。僕は今シーズンずっと好調をキープしていたし、年間を通して勝利をコンスタントに上げていた数少ないランナーだったと思う。現に今日の勝利が9つ目だしね。この勝利が監督の目に大いに焼きついてくれれば、僕にとってそれが今後へ向けての大きな賞となるね。今日の勝利は執念の賜物だった。ブエルタも3週目となると、手足の節々が痛くなってくる。エネルギーもかなり消費し、疲れが蓄積されている。勝負の鍵は気持ちの問題だったね。


パオロ ・ベッティーニ(クイックステップ)
(世界選手権に備え、第17ステージを走り切ったところでリタイア)

今日のレースは僕にとっては特別なレースだった。だって、レインボー・ジャージを着ての最後のレースとなったからね。このジャージを着て走ることを許可してくれた運営陣や審判団には感謝したいね。本来ならプントス(ポイント賞)のピンクのジャージを着るべきだったからね。このジャージを手にする過程は本当に大変だった。来年もまた着ることが出来たら嬉しいね。優勝候補!?やっぱりオスカル・フレイレじゃないかなぁ。だけど他にもシュツットガルトに標準を合わせている選手もいるし、蓋を開けてみないことにはね。僕にとってブエルタは世界選手権に勝つ為の基盤を作ってくれる存在だった。


カルロス・サストレ(チーム CSC)
総合4位

残りレースもあと僅かだね。自分としては出来る限りの挑戦はするつもり。だけど僕にも限界がある。正直表彰台は難しいと思っているよ。今日のステージは思ったよりも順調に走れた。とても暑かったけど、問題なかったよ。明日は地元を走るわけだし、何かしたいね。例え成功の可能性が少なくてもね。でも、あまりエネルギーは残っていないよ。


カデル・エヴァンス(プレディクトール・ロット)
総合3位

正直早くこのブエルタが終わって欲しいと思っているよ。僕らは7月のツール・ド・フランスで全ステージを走り抜き、とても疲れているんだ。僕自身、このまま3位の位置を維持出来れば御の字だと思っているよ。でもまだ2つ、難しいコースが残っているね。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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