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サイクル ロードレース コラム 2008年5月14日

【ジロ・デ・イタリア2008】第4ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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前日のゴール地から約150kmのバス→船→バスという長旅を終え、いよいよジロがイタリア本島へと乗り込んだ。そしてスタートとほぼ同時に、ヴェルブルッヘ(コフィディス)が単独アタック。2001年大会初日にジロ プロローグ史上最速の時速58.895kmをたたき出して区間優勝を果たし、4日間のマリア・ローザを経験している33歳のベテランは、たったひとりで無謀ともいえる大逃げを始めた。

本人によれば「クレイジーな行動」。チーム監督は「移動の多さにイライラがつのり、鬱憤を爆発させる必要があったんだ。気持ちを落ち着けるためのアタックだったんだよ」と理解を示す。もちろん長時間の移動や難しく危険なルート設定に関しては、プロトン全体の選手が不満を抱いている。ヴェルブルッヘがアタックで気持ちを示したのに対して、プロトンのアピール方法はどうやらステージ序盤を“サイクリングモード”で走ることだったようだ。またヴェルブルッヘの前日までの総合順位は18分54秒差の184位だったこともあり、マリア・ローザのペッリツォッティ擁するリクイガスが危険を感じる必要もなかった。ヴェルブルッヘは後方との差を11分近くまで開いたが、確かに一度もヴァーチャルリーダーの座にはつくことができなかった。

タイムトライアル強者の逃げは、小さなカタンザーロの丘への登りが始まった162kmで終止符を打った。代わって先頭を引き受けたのはLPRやクイックステップ。登りで急加速しスプリンターたちを引き離しにかかると、さらに下りでベッティーニ(クイックステップ)がアタックを仕掛ける場面も。残念ながら世界チャンピオンの賭けは成功しなかったどころか、大方のスプリンターたちは下りを利用してしっかり前方集団に追いついている。

2日連続大会2度目の集団スプリントを目指して、ハイ ロード、ランプレ、ミルラムが隊列を形成して加速を続ける。完璧に平坦な最終1200mの直線へ突入すると、集団はさらなるスピードアップを試みた。と、残り800m地点に差し掛かったとき、プロトンの比較的前方で集団落車が発生。結局スプリントを続行できたのは、切り離された前方の10人程度だけ。ただし前日勝者のベンナーティ(リクイガス)、ツァベル(ミルラム)、ベッティーニ、マキュアン(サイレンス・ロット)、今季絶好調の若手カベンディッシュ(ハイ ロード)と役者は揃っていた。

そしてステージを制したのは、ツァベル、ベンナーティに続いて最後に飛び出しを図ったカベンディッシュだ。3月のトラック世界選手権ではマディソン競技で金メダルに輝いたのに続いて、パンヌ3日間区間2勝、ツール・ド・ロマンディ プロローグ勝利などでベストスプリンターの仲間入りを果たしていた21歳の若者は、初出場のジロでグランツール初の区間優勝を手に入れた。ちなみにカベンディッシュは5月21日に22歳の誕生日を迎える。当日の第11ステージは山岳ステージで到底スプリンターに勝利は望めそうもないから、この勝利が1週間早い誕生日プレゼントとなるのかもしれない。

集団落車に巻き込まれた選手たちは、先頭通過選手と同じゴールタイムが与えられた。また激しく地面に叩きつけられたナイエンス(コフィディス)は、右鎖骨を骨折し救急車で病院へ。コフィディスはヴェルブルッヘの逃げでジャージをしっかりアピールした一方で、リーダー級の選手を失う痛手を負ってしまった。(※第4ステージ終了時点では、ナイエンスがレースを続行するかリタイアするかは不明)


●マーク・カベンディッシュ(ハイ ロード)
ステージ優勝

これまでで最高の勝利だよ。チームが成し遂げてくれた仕事の成果でもあるんだ。ゴール前20kmの最後の登りで、一丸となってボクを助けてくれたからね。おかげでボクはすぐにいいポジションに戻ることが出来たんだ。みんなが信じられないような仕事をしてくれたから、ボクに出来る唯一の恩返しは勝利を上げることだった。

正直に言って、追い風を期待していたんだけど、でも最終1kmは向かい風が吹いていた。そこでもチームメイトのマルティンが完璧な仕事を成し遂げてくれて、ボクを前から3番目のポジションに引き上げてくれた。ベンナーティはいいタイミングで飛び出したと思うよ。でもボクは待ったんだ。彼の背後について、最後の瞬間に追い抜いた。これからはスプリンターのヒエラルキーの中で、自分は最強の部類に属すると考えてもいいよね。


●リック・ヴェルブルッヘ(コフィディス)

昨夜ホテルに到着したのは22時30分だった。マッサージをしてもらうにはもう遅すぎた。なにより朝8時半から食事を取っていなかったのに、到着後にようやく夕食のテーブルにつけたんだ。シチリア島発の船内では、選手たちはみんな口々に文句を言っていたよ。『こんなの普通じゃない。到着時間が遅すぎる』。でもスタート地では、結局何らかの抗議行動などは行わなかった。だからボクは、何か行動を起こしたかったんだ。プロになって13シーズン目、こんなエスケープを打つのは初めて。クレイジーだったかもしれないな。でもこの仕事を続けるには、ちょっとしたクレイジーさも必要なのさ。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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