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サイクル ロードレース コラム 2008年6月24日

【自転車】 2007年〜2008年、UCIプロチームの変遷

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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2005年に全20チーム体制でスタートしたUCIプロツールだが、2007年末に2つのチームが姿を消した。ひとつはチーム自体が解消したディスカバリーチャンネル、そしてもうひとつは災難続きだったユニベット。2つの空席は埋められることなく、UCIプロツール・18チーム体制で2008シーズンが始まった。

ランス・アームストロングの7連覇を支えてきたUSポスタル→ディスカバリーチャンネルの消滅は、自転車界に大きな衝撃を与えた。2007年ツール・ド・フランス勝者アルベルト・コンタドールを擁しながらも、スポンサーの投資方針の変更、さらに新スポンサー探しが難航したことにより、チーム母体が解散を余儀なくさせられた。しかも監督として8回のツール優勝を経験してきたヨハン・ブリュイネルは、プロ自転車界からの完全引退さえも宣言。ただし前言は撤回され、チームの大多数の選手を引き連れてアスタナへと活躍の場を移している。

一方のユニベットは、2007シーズン序盤から問題続きだった。まずは「オンライン賭博の広告は禁止されている」という理由で、フランス国内のレースではスポンサー名の入ったジャージが着用できなくなった。さらにはUCIと3大ツールの争いに巻き込まれ、UCIプロツール全26レース中、ツールを含む12レースから出場を拒否される事態に。結局2008シーズンは、新たなスポンサーと共にチーム名・サイクルコルストロップとして再出発。UCIプロツールの下部ディヴィジョンである、UCIプロコンチネンタルツアーに所属している。

またT-モバイルの名前も、UCIプロチームリストから消えた。相次ぐドーピング問題に失望したスポンサーが、2010年までの契約を解消し、2007年末でスポンサー活動を打ち切ってしまったのだ。これにてドイツテレコム時代から続くチーム16年の歴史に終止符が打たれ、おなじみピンク色のジャージも姿を消した。ただしチーム母体は国籍をアメリカに移行し、スポンサーが見つからないままチーム・ハイロードとして2008シーズンイン。幸いにもツール直前に新スポンサーが見つかり、チーム・コロンビアとして活動を続けていくことが決定した。

スポンサーは変わらずとも、2年連続でチーム名が変更されたチームも存在する。もちろんダヴィタモン・ロット→プレディクトール・ロット→サイレンス・ロットと名前が変わるたびに、チームジャージも赤橙白→ピンク→赤黒とカラーチェンジ。これはスポンサーであるオメガファーマ社が、売り出したい商品シリーズをチーム名に冠しているため。去年の商品は妊娠検査薬、そして今年の商品は“いびき防止薬”である。

●実力選手が揃ってUCIプロコンチネンタルチームへ

UCIプロチームの減少、さらに3大ツールのUCIプロツール離脱で「UCIプロチーム所属=3大ツール出場」の図式が崩れたことにより、2007年末には実力派選手たちのUCIプロチーム離れが一気に進んだ。

特に大物獲得で話題を呼んだのがスリップストリーム・チポレ(今ツールからはガーミン・チポレ)。2000年ツールのプロローグ勝者デーヴィット・ミラー、同じく2005年プロローグ勝者のデーヴィット・ザブリスキー、そして2004年パリ〜ルーベを勝ち取ったマニュス・バックステッドというそうそうたるスター選手がチームへ合流した。しかもアンチドーピング理念を強く打ち出し、ジャージデザインを一般公募するなど話題性の尽きない今チームは、早速ジロとツールへのワイルドカードを手に入れただけに留まらず、今ジロ第1ステージ・チームタイムトライアルを制して旋風を巻き起こしている。

またイタリアでは、新天地を求めて小さなチームへ籍を移す大物選手が続出した。ジロ2回優勝のジルベルト・シモーニはベネズエラ籍のセッラメンティへ、同じくジロ2回優勝のパオロ・サヴォルデッリと昨季ジロ覇者ダニーロ・ディルーカはアイルランド籍のLPRブレイクスへ、そして2005年イタリアチャンピオンのエンリーコ・ガスパロットはイギリス籍のバルロワールドへと移籍。3チームは当然ジロ出場権を獲得し、各選手も総合争いへ食い込む走りを見せている。

3大ツール・主要レースがプロコンチネンタルチームにも出場機会を多く与えるようになったことで、モチベーションの高い小さなチームたちの活躍がお目にかかれるようになった。春のパリ〜ニースでは別府史之属するスキル・シマノが大爆発。特に22歳のクレマン・ロテルリーが山岳で奮闘し、山岳賞ジャージを手に入れた。一時はチームのツール出場さえも噂されたほど。またジロではCSFグループが連日エスケープに選手を送り込み、最終的にはエマヌエーレ・セッラの区間3勝&山岳賞、さらに区間1勝、チーム総合首位、個人総合12位以内に3選手という好成績を叩き出した。

2008年ツールには、アグリテュベル、バルロワールド、そしてスリップストリーム改めガーミン・チポレの3プロコンチネンタルチームが参戦する。UCIプロチームに負けない活躍が期待できそうだ。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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