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サイクル ロードレース コラム 2008年7月1日

【自転車】 昨大会勝者のいない2008年ツール・ド・フランス

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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一年前のパリでマイヨ・ジョーヌの栄光に輝いたアルベルト・コンタドールが、この夏のツール・ド・フランスに参加することはない。所属チームのアスタナが、ツールへの参加を許されなかったからだ。

「今季は自らの開催する全ての大会にアスタナを招待しない」とツール開催委員会が発表したのが今年の2月中旬。しかもその約2週間前にはアスタナのジロ不招待も発表されていた。コンタドール、アンドレアス・クレーデン、リーヴァイ・ライプハイマーなどのそうそうたる強豪をそろえるビッグチームは、シーズン序盤にレーススケジュールの大きな変更を余儀なくされてしまった。

UCIプロチーム所属なのに、欧州のトップレースに出場できない。これは昨季末限りでUCIプロツールを脱退した3大ツールが、自らの開催するレースにおいては、自らの判断で出場チームを選ぶ権利を再び手に入れたから。ジロのアスタナ不招待の理由は“リーダーの質不足”であった。その後スポンサーの尽力とトップ選手3人のジロ出場確約によって、アスタナは大会6日前に出場権を獲得。結果はご存知のとおり、コンタドールが見事に総合優勝を飾った。


一方、ツール側がアスタナ出場を拒否した理由は、「ツールの威信とファンの信頼を大きく損ねたため」。2006年ストラスブールでのグランデパール前日に、「オペラシオン・プエルトに関与している疑いがある」としてアスタナチームから5人が追放された(結局出場メンバー不足でアスタナは出場キャンセル。その後ブエルタも不出場)。さらに昨2007年大会期間中には、区間2勝を挙げたアレクサンドル・ヴィノクロフに血液ドーピング陽性反応が検出され、チーム全体がツールを後にした。2年連続の問題発生で、さすがにツール開催委員会の許容範囲を超えてしまったのだろう。「2006年の問題後、アスタナの『我々は変わった』という言葉を信頼して2007年ツールに招待した。その信頼は見事に裏切られた。ファンの自転車レースに対する愛情にも傷をつけた」という言葉が全てだ。

もちろんアスタナは昨シーズン末、大幅に内部システムを変更している。ゼネラル・マネージャーに元ディスカバリーチャンネル監督ヨハン・ブリュイネルを迎え入れ、選手層も大きく入れ替えている。ツール追放の最大の原因となったドーピング問題の解消策としては、プロチームでもトップクラスという折り紙つきの厳しい内部システムを取り入れた。ツール側は「今年のアスタナが事件や疑惑を起こすことなく、内部システムの改善に取り組み続ければ、この先(来季)のレース出場については検討する」と発表している。

また開催委員会は「コンタドールがチームを移籍すれば、彼の出場は歓迎する」と述べたが、例のコンタドールは先のジロで総合優勝を果たし、現在は五輪、ブエルタでの好成績に向けて気持ちを切り替えている。

昨大会のコンタドールのようなニュースターが、果たして今年も現れるのか!?

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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