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サイクル ロードレース コラム 2008年9月4日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2008】第5ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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マドリードの表彰台を狙う選手にとっては、今ブエルタ最初の試練となった42.5kmの個人タイムトライアル。ドンキホーテと風車で有名なカスティーヤ・ラ・マンチャ州の文字通り“荒野”の中、たった一人で走り続ける選手たちに、前半約20kmは弱い向かい風が、後半約20kmは中程度の追い風が吹き付けた。

167人の出走選手の中で、38番スタートを切ったマヌエル・クインツィアート(リクイガス)が今ステージ最初の好タイムを叩き出した。今年のツールで2度のTTを制したステファン・シューマッハー(ゲロルシュタイナー)やTT強者アンドレアス・クレーデン(アスタナ)、ジュニア時代からTTスペシャリストとして鳴らしてきたドミニク・コルヌ(サイレンス・ロット)がその後出走したが、クインツィアートのタイムをどうしても上回ることが出来なかった。

ジュニア時代にトラックチーム追い抜き競技で世界3位に入った経験を持ち、また元U23部門ヨーロッパタイムトライアルチャンピオンでもあるクインツァートは、約1時間45分に渡って暫定首位の座を守り続けた。しかも最終的にリーヴァイ・ライプハイマー(アスタナ)とシルヴァン・シャヴァネル(コフィディス・ル クレディ パール テレフォン)の2人にしかタイムを抜かれることなく、区間3位の好成績で1日を終えている。

ステージ後半の追い風を最大限に利用して、50分57秒で区間優勝を手に入れたのはライプハイマーだった。14kmの第1計測地点ではクインツァートより22秒遅れ、28km地点の第2計測地点は42秒遅れだったが、ゴール地点では33秒も上回った。つまり最終盤の14.5kmだけのタイムを比較するとクインツァートを1分15秒上回るという・・・なんとも驚異的なタイム!全出走選手中でただひとり時速50kmを越え、2007年ツール第19ステージに続くグランツール個人TTステージ勝利を手に入れた。また区間勝利と共に、総合トップの座も獲得。2001年にブエルタを総合3位で終えている経験豊富なベテランにとっては、生まれて初めてのマイヨ・オロだ。

クインツァートのタイムは上回ったが、残念ながらライプハイマーに12秒足りなかったのがシャヴァネル。フランス選手権個人TT3連覇中でトリコロールジャージを身にまとって走ったシャヴァネルは、ずばり今ステージ勝利&マイヨ・オロを狙っていたそうだ。最終盤はダンシングスタイルで意地を見せたが、総合でもライプハイマーにわずか2秒届かず。1999年ジャッキー・デュラン以来のフランス人マイヨ・オロ着用を果たすことは出来なかった。

表彰台候補に上げられるスペイン選手の中では、アルベルト・コンタドールが最も好走を見せた。途中で数選手を追い越しながら42.5kmを通して安定したリズムで走り切り49秒遅れのステージ4位、総合でも5位につけた。一方、第1計測地点をわずか11秒遅れの好タイムでつけながら、結局ステージを59秒遅れの5位で終えたアレハンドロ・バルベルデ(ケースデパーニュ)は総合3位。アスタナチーム監督のガロパン氏を「バルベルデはあくまでも総合は考えていない、と繰り返しているが、山では最大限の注意が必要になるだろう」と警戒させている。カルロス・サストレ(チーム CSC サクソバンク)は15位ゴール。総合ではバルベルデから57秒遅れ、コンタドールから40秒遅れの総合7位の成績に関して、サストレ本人は「非常にポジティヴな結果だ」と満足の様子を見せている。


●リーヴァイ・ライプハイマー(アスタナ)
ステージ優勝&総合首位

数週間前から自分の調子がいいことを感じていた。ブエルタ開幕1週間前にクラシック・ロス・プエルトスで優勝していたし、今大会ここまで調子が非常に良かったから、今日は自信を持ってレースに臨んだ。でも今日のレースは難しかった。最初の20kmは向かい風が吹いていたからね。でも体力をしっかり温存したから、最終盤にスピードアップすることができた。

グランツールでリーダージャージを着るのは初めて。でも今大会この先にはたくさんの山岳が待ち受けているし、コンタドールが世界最高のクライマーだと思っている。彼がチームリーダーだ。彼はすでにツールとジロを勝っており、今度は彼がブエルタを制覇できるようボクらみんなでアシストするんだよ。ボクが彼をアシストするかって?うん。ボクは彼のために働く。


●アレハンドロ・バルベルデ(ケースデパーニュ)

コンタドールから10秒遅れ?いい出来だね。今ブエルタでも最も危険なステージのひとつを上手く乗り切った。今日の走りにすごく満足している。完全なるフラットコースでのタイムトライアルで、全くボク向きのステージではなかったんだ。でもスペシャリストたちから最低限のタイムしか失わずに済んだ。ステージ前半はタイムを稼ぐために全力で走った。その後は向かい風に少し苦しめられたよ。でも間違いなく、ボクのキャリアの中でも最高のタイムトライアルになった。今後も1日1日走っていくだけだよ。でも今日のパフォーマンスのおかげで、山岳突入前にすごく気力が充実するね。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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