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サイクル ロードレース コラム 2009年7月24日

【ツール・ド・フランス2009】第18ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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最終走者が、最速タイムを叩き出した。40.5kmの孤独な戦いを勝ち取ったのは、マイヨ・ジョーヌ姿のアルベルト・コンタドール(アスタナ)だった。個人タイムトライアルにおいては間違いなく現役最高のスペシャリスト、ファビアン・カンチェッラーラ(チーム サクソバンク)に3秒もの差をつけて!

アームストロングとの対立やチーム内での孤立が噂され、第17ステージでチームメイトのアンドレアス・クレーデンを置き去りにしてしまったアタックをチーム監督から批判され……。つまり、連日ひとりで戦い続けてきたコンタドールにとって、個人タイムトライアルこそ思う存分実力を発揮できる場だったのかもしれない。もちろん、総合のあらゆるライバルたちも完膚なきまでにやり込めた。決戦モン・ヴァントゥーを前に、総合2位とのタイム差は4分11秒。パリ・シャンゼリゼでの2度目の栄光が見えてきた。

しなやかで細い肢体に、軽やかさと力強さを兼ね備えるコンタドールは、今ツールで山頂フィニッシュと個人タイムトライアル、2つの異なるタイプのステージを制したことになる。かつて1999年から2005年までツール7連覇を果たしたランス・アームストロング(アスタナ)も、いずれのステージでも勝利を狙える選手であり、個人タイムトライアルではツール通算9勝を(プロローグを含む)。前日第18ステージのロム峠でパリの表彰台から引きずり下ろされた37歳は、だからこそ、この得意種目で再び這い上がろうと試みた。すでに数ヶ月前にルート下見は済んでいたが、前夜改めて車で道路状況を確認に出かけたという。そしてオールイエローの自転車で気合を入れて飛び出していくと、区間こそ15位に終わったものの……、総合ではフランク・シュレク(チーム サクソバンク)が座っていた総合3位の椅子を奪い取った。

モナコのグランデパール時には「総合3位になるために戻ってきたんじゃない」と大言していたアームストロングだが、アルプスに入って以降は「2位でも、3位でも、とにかく総合表彰台に登りたい」と語っている。さらには「来年は新しいチームでツール総合優勝を狙う」というコメントが続くことになる。そして第18ステージが行われた7月23日、ついに来季の構想も正式発表された。チームスポンサーは米国の電化製品チェーンRadio Shack(ラジオ・シャック)。アームストロングのガン患者支援基金Livestrong(リヴストロング)も、新チームを支援する。

もうひとり、前夜に総合3位の座から6位へと陥落したブラドレー・ウイギンズ(ガーミン・スリップストリーム)も、40.5kmの全力疾走で表彰台復帰を狙っていた。しかもトラック競技の五輪金メダリストは第16ステージ終了後に……ヘリコプターでアヌシーへ下見に飛んだ!「第17ステージは遅れたのではなく、TTで全力疾走するためにわざと力を温存したのでは?」と、区間優勝のライバルであり、シュレク兄弟の表彰台を脅かすチームの敵でもあるウイギンズについて、カンチェッラーラが思わず疑ったほど。そしてステージ前半では好タイムをたたき出したが、後半伸びずに区間6位。それでも総合4位にジャンプアップし、表彰台まではわずか11秒に接近した。

この日、明暗が分かれたのがシュレク兄弟(チーム サクソバンク)だ。弟のアンディは「平地が多くて苦しかったけれど、登りで全力を尽くしたんだ」と語るとおり、損害を最低限に抑えで総合2位の座に留まることができた。一方、ゴール直後のアンディに「兄は?兄の成績は?」と言わしめた兄フランクは、一気に総合6位陥落。……とは言っても総合3位アームストロングから総合6位フランク・シュレクまで、タイム差はわずかに34秒。「失ったタイムはモン・ヴァントゥーで取り戻す」と前日に断言していた通り、プロヴァンス地方の恐ろしき禿山で再び兄弟劇場を繰り広げてくれるだろうか。

また別府史之は78位、新城幸也は112位でゴール。翌第19ステージで今ツール最後の「大逃げチャンス」をつかまえるために、両者共に、静かに40.5kmを走りきった。また表彰式後には、フランス公共放送局の生中継に両者ゲスト出演。流暢なフランス語でインタビューに答える2人の姿が、フランス全土のお茶の間に届けられたのだ!!この日のプレスルームでは、「J SPORTSがツール・ド・フランス生中継放映権を2013年まで延長」というプレスリリースも配布された。


●アルベルト・コンタドール(アスタナ)
ステージ優勝&マイヨ・ジョーヌ

スタート時には総合順位のことばかり考えていた。区間優勝は二の次で、勝てるなんてちっとも思っていなかったんだ。チームメイトはボクが勝ちを狙いに行ったと信じているようだけど、実はボク自身はまるで自信がなかった。でも勝てる可能性があるのは分かっていたから、今日のパフォーマンス自体には驚いていないよ。それに昨日の最終盤は、今日のタイムトライアルのために力を温存して走った。これが今日の成功の秘訣でもある。

最高の1日だった。ライバルたちをまた少し引き離せたよ。大きく一歩前進、総合優勝に近づくことが出来たと信じている。でもツールはまだ終わっていない。マイヨ・ジョーヌを守っていかなきゃならないし、モン・ヴァントゥーの登りで決してミスを犯してはならない。数々のアタックが巻き起こるだろうが、チームにはそれを抑える実力がある。チームを心から信頼しているんだ。みなプロフェッショナリズムの塊だからね。

(来季について)まだツール・ド・フランスが3日残っている。今現在のボクの最大の関心事は、ツールを総合勝者として終えるためにはどうすればいいのかということ。特にモン・ヴァントゥーのステージでは、ひとつのミスも許されないからね。ただしパリにたどり着いて、ツールが全て終わった後には、将来について静かに考えるよ。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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