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サイクル ロードレース コラム 2009年9月16日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2009】第16ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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大会2回目の休養日から滞在してきたアンダルシアを離れて、この日のプロトンは強風の吹きぬけるカスティーヤ・ラ・マンチャ地方へとペダルを踏み込んだ。ブエルタがアンダルシアの青い空の下に戻ってくるのは、約1年後の……プロローグにて!9月15日に開催委員会が発表したところによれば、2010年ブエルタ・ア・エスパーニャはアンダルシア州都セビリアでの「ナイト」タイムトライアル8kmにてスタートする。また今年はお預けとなったリーダージャージのカラーチェンジも、いよいよ行われるらしい。つまり来年からは、マイヨ・ロホ(赤ジャージ)がキング・オブ・ブエルタの象徴となる。

アンダルシアとのしばしの別れに、この日はアンダルシア・カハスールの選手が奮闘した。しかも、まさにセビリア県出身のヘスス・ロセンドが、長時間にわたる孤独な逃げを行った。スタートからわずか6.8km地点の3級峠ロス・ビジャレスで、ダヴィ・モンクティエ(コフィディス・ル クレディ アン リーニュ)が先頭通過して山岳ジャージをさらに確かなものとした直後に、下りを利用してロセンドは飛び出した。そして高速のアタック合戦が1時間半も続いた前日とは違って、非常にあっさりと、単独エスケープが決まってしまった。

その後は前ステージ同様に、しばらくゆっくりと時間が流れた。レース2時間目のプロトンは31.1km/hとかなりのスローペースで走り、ロセンド単独で計153人のプロトン相手から奪ったリードは最大12分にまで達した。ちなみにこの日の第16ステージには幸いにもDNS(=出走せず)選手はいなかったのだが、第17ステージはまた少し集団が小さくなる。この月曜日に世界選手権イタリア代表メンバーとして正式に選ばれたダミアーノ・クネゴ(ランプレ・N.G.C)とアレッサンドロ・バッラン(ランプレ・N.G.C)が、実践調整を終えて、イタリアへと帰途についた。つまりバッランにとっては、この第16ステージが、2008年大会のチャンピオンジャージ「アルカンシェル」を着て走る最後の日だった。

前日のプロトンは最後までのんびりと走ったが、この日は早くも50km過ぎからチーム コロンビア・HTCがスピードコントロールを始めた。総合首位・ポイント賞首位・複合賞首位アレハンドロ・バルベルデ(ケースデパーニュ)の「代理」としてポイント賞ジャージを着用しているアンドレ・グライペル(チーム コロンビア・HTC)が、ジャージ奪還への執念を燃やしていたからだ。もちろん71km地点の第1中間ポイントではスプリントを見せ、グライペルはロセンドに次ぐ2位通過。その後もスピードアップに努めてラスト18km地点でロセンドを吸収すると、2つ目の中間ポイントも2位通過でポイント賞首位タイに戻した。さらには絶対的首位の座を目指して、グライペルとチーム コロンビアは万全な体制でゴールスプリントへと向かっていった。

ゴール前3kmに発生した落車でも、コロンビアの隊列が崩されることはなかった。リクイガスやクイックステップが前方で主導権を奪おうと何度も試みたが、常にチームメイトが潰しにかかった。そして最終ストレートでダニエーレ・ベンナーティ(リクイガス)が加速を始めると、ついにグライペル自らがアシストの影から飛び出す。そのまま力強いロングスプリントを危なげなく制して、大会3つ目のステージ勝利を祝ったのだった。もちろんゴールラインでは25ポイントも手に入れた。しかも特にポイント集めをしていないバルベルデが31位ゴール=0ポイントだったため、ポイント賞争いでは25ポイント差でダントツの単独首位に立ち、念願の緑ジャージを取り戻した。

コース脇の柵から体を乗り出していたファンと接触して、ジュリアン・ディーンとマッタイン・マースカント(共にガーミン・スリップストリーム)、ロジャー・ハモンド(サーヴェロ テストチーム)、そしてワウテル・ウェイラント(クイックステップ)がゴール前3km前後で地面に叩きつけられた。4人ともゴールへはたどり着いたが、ディーンは背中を、ウェイラントは肩を強打している。


●アンドレ・グライペル(チーム コロンビア・HTC)
ステージ勝利

今日の目標は、ポイント獲得のためにスプリントすることだった。そしてもちろん、勝つことだった。チームメイトが大いにサポートしてくれたよ。エスケープがたった1人だったのは、ボクらチームにとって幸運だった。追い上げるのが非常に簡単だったね。

実は今日は、ボクにとってちょっとセンチメンタルな日なんだ。3年前の同じ日に親友を失っているし、祖父の命日でもある。だから絶対に勝ちたかった。ちょっとトリッキーなコースで最終盤はカーブが非常に多かったけれど、チームメイトが常にしっかりと前方でコントロールをしてくれた。ボクは危険な思いなんてこれっぽっちもしなかったよ。

明日(第17ステージ)もまたポイントが取れるステージだね。あとはマドリードも取れる。さらにあと2日間難関ステージも残っている。そこではバルベルデとエヴァンスがポイントを稼ぐだろうね。だからジャージの行方は、とにかくマドリードまで見ていかなきゃならないよ。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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