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サイクル ロードレース コラム 2010年8月29日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2010】第1ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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少しだけ欠けた月が見下ろす真夜中のセビーリャを、22チーム・参加全198選手が高速で駆け抜けた。記念すべき75周年大会の開幕ステージとして、ブエルタ開催委員会はとびきりオリジナルなチームタイムトライアルを企画した。最初のチームがスタートを切ったのは夜もすっかり更けた22時04分。しかも全長13kmのコースで、明るくライトアップされたのはスタート&ゴール地のみ。あとは街灯とチームカーのヘッドライトだけを頼りに、美しい光に包まれた歴史的建造物を横目に……選手たちは暗い大通りをひたすら突き進むしかなかった。22番目のチームがフィニッシュラインを超えたのは23時43分。表彰台の途中に、ついに日付が変わった。

近代のグランツールでは稀に見るミッドナイトレースを制したのは、22チーム中6番目に出走したチームHTC・コロンビアだった。普段からトレインを組み慣れているスプリントチームは、暗闇の中でも飛びぬけた連帯力と均質な走りを遺憾なく発揮する。9人中8人が綺麗にまとまってゴール地にたどり着き、14分06秒という2位以下を10秒以上も突き放す好タイムを叩き出した。2010シーズンではチーム通算55勝目。2位チーム・サクソバンクの36勝と比べれば、チームHTC・コロンビアの飛びぬけた常勝軍団ぶりは一目瞭然だ。

またスプリントリーダー、マーク・カベンディッシュがチームオーダー通りにゴールを先頭通過。2010年から新色に代わったマイヨ・ロホ(もしくはヘルセイ・ロホ、あるいは通称「ラ・ロハ」)に初めて袖を通す名誉を手に入れた。ちなみに2009年「100周年記念」ジロ・デ・イタリアでも初日チームタイムトライアル(20.5km)をチームHTC・コロンビアが制し、カベンディッシュは大会初日のマリア・ローザに輝いている。

そのジロでは2日間でリーダージャージを失ったが、今回は「もちろん出来るだけ長く赤色ジャージを守りたい」とカヴェンディッシュは語る。ライバルたちには10秒以上のタイム差をつけているが、今ブエルタでは中間ポイント(6、4、2秒)とゴール(20、12、8秒)にそれぞれボーナスタイムが与えられるため油断は禁物。第2ステージではスタート直後からアシストたちがきっちりとコントロールに動き、逃げ選手の顔ぶれを厳重に選ぶに違いない。あとは締めくくりとしてカベンディッシュ本人が区間優勝しさえすれば——早くも首位に立ったポイント賞にとっても——、余計な計算や心配の必要はないのだ。ところで緑色のポイント賞ジャージ、白色の複合賞ジャージも手に入れたカヴェンディッシュだが、当然、翌日第2ステージでは3色全てを着て走ることなど不可能だ。緑ジャージは総合2位につけるチームメイトのペーター・ヴェリトスが、白ジャージは双子の兄弟のマールティン・ヴェリトスが代替着用して走る。

総合表彰台を狙う選手たちの中では、10秒差の区間2位に入ったリクイガス・ドイモのヴィンチェンツォ・ニバリとロマン・クロイツィゲルの2人がライバルたちをわずかながら突き放すことに成功した。タイムトライアル現役最強ファビアン・カンチェッラーラと、カンチェッラーラに次いで世界で2番目にタイムトライアルに強いと見られている五輪&世界2位グスタフエリック・ラーションを有するチーム・サクソバンクは、最終盤で足並みが乱れて12秒遅れの区間3位。それでも「結果には満足している。なにしろフランク(・シュレク)を総合の好ポジションに押し上げることができたのだから」とチーム監督ブラッドリー・マッギーは前向きに語る。今年3つ目のグランツールスタートを切ったカルロス・サストレ(サーヴェロ・テストチーム)も首位から13秒差と悪くない成績で初日を終えた。一方でブエルタを過去2度制しているデニス・メンショフ(ラボバンク)は36秒差でゴールラインを通過。早くもリクイガスコンビから26秒、シュレク兄弟から24秒、そして来季同チームで走るサストレから23秒も遅れを喰らってしまった。


■マーク・カベンディッシュ(チームHTC・コロンビア)
総合首位、ポイント賞首位、複合賞首位

木曜日に初めてコース下見に出かけたときから、ボクには勝利の予感があったんだ。なにしろ10分ほど走っただけで、チームみんなでいい走りが出来ていたからね。チームタイムトライアルは大好きな種目の一つ。チーム全員で成果を得ることができるから。だから特別なんだ。それと同時に、成果を得るためには皆が100パーセントの力を出さなければならない。ボクはこれまでたくさん表彰台に上がってきたけれど、全ては他の8人が力を尽くしてくれるおかげさ。今日はみんなで表彰台に上がることが出来た。チームメイトたちが成し遂げたことをすごく誇りに思うよ。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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