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サイクル ロードレース コラム 2011年9月9日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2011】第18ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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マイヨ・ロホ争いは一時休戦。アングリルと同じくらいハードだった、とファンホセ・コーボ(ジェオックス・TMC)に言わしめた大会最後の山頂フィニッシュの翌日、プロトンは「休養日」を取ることに決めたようだ。疲労をしっかりと回復して、残るバスク2連戦へ全身全霊を捧げるために。……13秒差という史上稀にみる接戦を制するために! 総合首位コーボ(ジェオックス・TMC)と総合2位クリス・フルーム(チームスカイ)は、この日は「ボーナスタイム争い」に打って出ることなく、静かにメイン集団で1日を終えた。

「昨日のステージの疲労がまるで抜け切れていなかったから」と、この第18ステージにあらかじめ目をつけていた土井雪広(スキル・シマノ)も、無理な飛び出しはしなかったという。そんな中でスタートから7km前後、17選手が果敢にもロングエスケープに乗り出した。前日も序盤の逃げに乗ったマッテーオ・モンタグーティ(アージェードゥゼール・ラ・モンディアル)と、2日前の落車で体を痛めたホアキン・ロドリゲス(チーム・カチューシャ)も、それぞれに違う野心を抱いて前方集団へと潜り込んだ。

第8ステージの大逃げで20ptを手にして以来、モンタグーティは常に山岳賞ジャージを追い求めてきた。第11ステージでは念願叶って青い水玉模様を身にまとったが、2日後にダヴィ・モンクティエ(コフィディス ル クレディ アン リーニュ)に奪い去られてしまった。そしてこの日のスタート時点で、両者のポイント差は22。「山頂フィニッシュではモンクティエにかないっこないが、大逃げでのポイントならばボクにも可能性がある」と繰り返してきた。

そして5つの峠が待ち構えたこの日、何度目かのポイント収集の旅に出た。もちろん全ての峠で首尾よくポイントを手に入れたが、残念ながら、全て「1位通過」というわけには行かなかった。理由はモンクティエのチームメート、ニコ・セイメンス(コフィディス ル クレディ アン リーニュ)が5つ中4つの峠でモンタグーティより先に山頂を駆け抜けたから。「朝のミーティング時に、監督からモンタグーティに張り付くよう指示されていたんだよ」と、言葉通りの仕事を遂行したから。全ての山頂でフルポイントを稼げていれば24ptになるはずだったが——つまり逃げに入れなかったモンクティエを2pt上回れるはずだったが——、モンタグーティは15ptしか懐に入れることができなかった。あいかわらず青玉ジャージはモンクティエが身にまとい、モンタグーティは7pt差で追いかける。

スプリント準備へと向かう緊張感あふれるプロトン内で、突如として発生した集団落車。これがロドリゲスの体を痛めつけた。チームメート3人に助けられながら11分01秒差でなんとかゴールすることはできたが、とっくに諦めていた総合優勝争いどころか、最後の山頂フィニッシュで輝くことさえ断念せざるを得なかった。「ケガの痛みのせいじゃない。疲れのせいで遅れたんだ」と強がったが、1年前に制したペーニャ・カバルガの山頂でも2分14秒の遅れを喫した。しかも「プリート」にとって、マドリード最終日の表彰台に上るための最後の可能性、ポイント賞ジャージさえ失ってしまった。

だから小柄なヒルクライマーは、2つの中間ポイントでスプリントを切った。2度とも上手く首位通過を果たし、4pt×2をかき集めた。さらにフィニッシュラインでも区間8位=8ptを獲得。「ステージ優勝はできなかったけれど……グリーンジャージのための逃げだったんだから、成功さ」と語ったように、バウケ・モレッマ(ラボバンク)を5pt差で逆転し、わずか1日で緑色のジャージを取り戻した。

肝心のステージ優勝に向けた争いは、セルジオミグエルモレイラ・パウリーニョ(チーム・レディオシャック)の単独アタックで始まった。ゴール前28kmから独走態勢に入り、まるで個人タイムトライアルのようにペダルを回し続けたポルトガルっ子の試みは、しかしラスト2.5kmで無常に終わりを告げる。そして追走集団の合流と同時に、クリストフ・ヴァンデワール(クイックステップ)とフランチェスコ・ガヴァッツィ(ランプレ・ISD)がカウンターアタックで飛び出していった。

フィニッシュラインでは、楽々と一対一のスプリントを制したガヴァッツィが、大きなガッツポーズを取り出した。小さな丘や峠の多い「カンタブリア地方やバスクの地形が好き」と語る27歳にとって、待望のグランツール初優勝。来季は「自分のためにもっと走りたい」、特に来季アスタナへの移籍で古巣のリーダーたち(スカルポーニ、クネゴ、ペタッキ等々)と対等に張り合い、さらには打ち破るチャンスが巡ってくるかもしれない。

翌第19ステージと第20ステージは、33年の空白を破って、バスク自治州がブエルタを迎え入れる。ちなみに今ステージの朝、2012年ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕地が発表された。来年8月18日にプロトンが走り出すのは、ナバラ自治州の首都パンプローナ。スペインが誇る大チャンピオン、ミゲル・インドゥラインを輩出したこの地はバスク「自治州」とは違うのだが、……歴史・文化・民族的な意味合いにおいては正真正銘のバスクである!


■フランチェスコ・ガヴァッツィ(ランプレ・ISD)
ステージ優勝

パウリーニョは力強く飛び出していった。でも幸運なことに彼は1人で、しかも最終盤は向かい風のせいで、1人で走るのには向いていなかった。ゴール前2kmでヴァンデワールがアタックしたのが見えたよ。ほかの選手たちは互いの顔を見合っているだけだったから、ボクがついていった。

もしかしたら、地球上でもこの土地こそが、ボクにとっての幸運の地なのかもしれない。今まですでにここカンタブリア地方で勝っているし、お隣のバスクでも勝った。おそらくコースの地形がボクの脚質に合っているんだね。間違いなく、この地方で走るのが好きだよ。来年はアスタナとの契約を結んだ。もっと自分のために走れる機会を増やすためなんだ。ビッグクラシックで上手くやりたいし、そこで世界のトップライダー達に挑戦したい。ペタッキやスカルポーニ、クネゴなどと同じチームに所属していると、なかなかそんなことは可能じゃないからね。

■ファンホセ・コーボ(ジェオックス・TMC)
総合リーダー

逃げ集団は早目に決まった。おかげでマイヨ・ロホで過ごす地元での1日を、十分に楽しむことができた。今日はとにかく注意深く行きさえすればよくて、何の危険もなかった。全てが上手くいった。でも明日は、危険が訪れるXデーだと考えている。エル・ビベロの上りは、フィニッシュから非常に近い。スカイの選手たちがボーナスタイムを取りに行くのか、それともボクに対して攻撃を仕掛けてくるのか分からない。でも確かなことは、彼らが何かをトライしてくるだろうということ。

最後のステージは、クリテリウムみたいな雰囲気になってほしくない。今と同じ13秒のリードを保って最終日を迎えるのが理想的だね。中間スプリントですぐにひっくり返される心配はないから、最終日のレースを楽しむことができるだろう。マドリードまでボーナスタイム争いがもつれ込んだら、苦しいだろうね。それでもボクは戦う。どんな方法であれ、ブエルタの総合優勝は非常に大切なものだから。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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