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サイクル ロードレース コラム 2012年2月13日

サイクル:コンタドール、2年の資格停止処分。その波紋

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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2010年7月21日ツール・ド・フランス2度目の休養日にドーピング検査を受け、同年9月29日に尿から使用禁止薬物のクレンブテロールが50ピコグラム検出されたことが明らかにされた。

あれから約1年半。

スペイン連盟による1年間の出場停止処分決定→取り消し→UCI国際自転車連盟がCASスポーツ仲裁裁判所へ提訴→幾度もの公聴会&裁定の延期……を経て、ようやく2012年2月6日、CASが2年間の出場停止処分を宣告。コンタドール側が主張してきた「食物(肉)汚染」ではなく、サプリメント摂取によるドーピングとの推定判断が下された。同時に問題発生以降の全ての成績が取り消されることが決まった。

自転車界への波紋は大きい。2年という出場停止期間は果たして相応しいのか、そもそも出場停止に値するのかしないのか、成績取り消しする必要があるのかないのか、2位選手を優勝昇格させるべきなのか……等々、今回の判定に対してレース現場では賛否両論飛び交っている(どちらかと言えばコンタドールに対して同情的な声が多いように感じられるが)。ただし関係者全体が一致している意見もある。「長すぎた」ことだ。

ツール開催委員長のクリスティアン・プリュドムは「決定まで長かった、いや、長すぎた。この18ヶ月間でコンタドールが出場したあらゆるレースが、大いに迷惑をこうむることになってしまった」とコメント。2010年ツール・ド・フランスの総合優勝はもちろん、2011年大会の総合5位も取り消しとなった。またコンタドールが圧倒的にライバルたちを蹴散らした2011年ジロ・デ・イタリアも、なかったことにされてしまった。

主催者のRCSスポーツは、声明文で「我々はここで強く主張したい。最終判定が下されるまでに時間がかかりすぎた。そのせいで、問題発生からかなり時間がたってから開催されたジロ・デ・イタリア等々、複数の大会に影響が及んだ。この先、ジロ・デ・イタリアが同様の問題に直面せずとも済むように、裁定プロセスには注意を払っていただきたい。ファンのためにも、レースを戦う選手のためにも」と述べている。そのほかにもコンタドールは2011年ムルシア一周、カタルーニャ一周の総合優勝を剥奪される。

長びきすぎた裁定は、所属チームのサクソバンクに重大な影響を及ぼす可能性さえでてきた。なにしろコンタドールが2010年ツール以降に積み上げてきたUCIワールドツアーポイントは、チーム全体で獲得した総ポイントの68%を占める。このポイントを全て失効すると、つまりサクソバンクは、UCIワールドツアーの一員としての成績条件を満たすことができなくなるのだ。UCIのライセンス認定委員会は、サクソバンクの今後の処遇に関して審議をすでに開始している。

裁定の翌日、サクソバンクはコンタドールとの契約解消を発表した。ただし実際は「リース・サイクリング(チーム母体)はコンタドールを支持しつづける」と公式に発表。またスポンサーのサクソバンクも、元所属選手を変わりなくサポートしていくようだ。

2月12日付の仏スポーツ紙レキップの最終面に、サクソバンクは広告を打った。ジャージ姿のコンタドールが、胸のスポンサー名を強調する大きな写真。そこには「チャンスとは、しばしば、難局のあとにやってくるものだ」との見出しが添えられている。決して名指しでコンタドールを擁護する文句は見当たらない。

ただ、「サクソバンクは常にお客様の味方です。皆様が好調なときも、苦難のときも。それはまた、我々の選手に対しても同じなのです」という一文こそが、2012年8月6日にレース復帰するコンタドールへの、サクソバンクの明確な意志表示に違いない。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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