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【Cycle*2021 パリ~ルーベ:レビュー】欧州王者のコルブレッリが雨と寒さと石畳に苛まれた地獄巡りを制す「最も美しい勝利」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「250km以上も走った後なら、クライマーでさえスプリントで警戒しなきゃならないのさ。競技場に入った時点ではファンデルプールの動きに集中していたけど、フェルメールスに先行されて、少しヒヤリとした。幸いにもぎりぎりで追い抜くことができた」(コルブレッリ)
例年は翌週アムステル・ゴールドレースへの身体的影響を恐れ、ルーベを迂回してきたというコルブレッリにとって、プロ生活11年目で手にした初めてのモニュメントタイトル。数年前からメンタルトレーナーの指導を受け、自己の内部から精神的な成長を遂げたことで、イタリア選手権優勝、欧州選手権優勝に続く大きな成功を引き寄せた。
石のトロフィーにキスをするコルブレッリ
「年齢が30を越えてからモニュメントを勝ち始める選手、たとえばヴァンアーヴェルマートのような選手をずっと手本にしてきた。僕も30歳を過ぎて円熟期に入り、ようやく自分のいるべき場所にたどり着けた。願わくばあと数年はこの位置に留まりたいものだね」(コルブレッリ)
昨6月にプロ転向したばかりのフェルメールスは、「全身が痙攣で悲鳴を上げ」ながらも2位の座をつかんだ。ほんの2週間前にU23世界選手権個人タイムトライアルで3位に輝いたばかりの22歳は、「人生で1度でもいいからモニュメント表彰台に上がりたいな」とぼんやり憧れていたそうだが……たった2度目のモニュメント出走で夢を叶えてしまった!
「現時点では失望してる。でも自分のパフォーマンスが誇りに思えるものであることは分かってる。カルフール・ド・ラルブルで3人になった時に、『よし、調子は良い、勝つ準備は出来ている』って自分に言い聞かせたよ。最後にアタックを試みたのは後悔したくなかったから。時を巻き戻せるとしても、僕はもう1度同じことをするだろう。だから後悔はない」(フェルメールス)
レースを作り、レースを引っ掻き回した3位ファンデルプールは、悔しさを隠しきれぬまま。表彰台ではニコリともせず、TVインタビューに手短に答えると、記者会見にも出席せずにルーベを後にした。祖父プリドール18回、父アドリ13回、本人1回で、いまだ一家にルーベの石畳トロフィーは飾られていない。
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