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【Cycle*2021 パリ~ルーベ:レビュー】欧州王者のコルブレッリが雨と寒さと石畳に苛まれた地獄巡りを制す「最も美しい勝利」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか舗装路のみの序盤で、31人が逃げ出した。全部で5つあるモニュメントの中で、パリ〜ルーベこそ最も逃げに向いている。近年の5大会中3度、序盤からの逃げ選手が1人ずつ表彰台に上がってきた。過去10年で逃げ切り優勝さえ2度実現した。逃げは後方のエースを補佐するためだけでなく、あらゆる不運を避ける手段のひとつでもあるのだ。強豪チームは複数のアシストを前に送り込んだ。元大会覇者グレッグ・ファンアーヴェルマート等々、実力者たちも飛び乗った。
元大会覇者2人を抱えるロット・スーダルも3人を滑り込ませた。うち1人が、後に2位に輝くフェルメールスだ。「目標は大きな逃げに滑り込むこと」だったという初出場22歳は、この時点ですでに達成感いっぱいの気分だったという。ところがメインプロトンに約2分差をつけ、いよいよ全部で30ある石畳路に突入すると、シクロクロスで鍛えた実力が発揮された。第27セクターで絞り込まれた4人に、きっちり潜り込んだ。しかもルーク・ロウがいつしか姿を消し、マキシミリアン・ヴァルシャイドは激しく横転した一方で、第24セクターを抜け出す頃には、フェルメールスはニルス・エーコフと早くも2人きりになった。
泥だらけになりながら走るマチュー
ただし、本物のドラマは、いつだってアランベールの森の長く荒れた一本道から始まるのだ。この第19セクターでメイン集団の大物たちは本格的なふるいにかけられた。マチュー・ファンデルプールの強烈な加速と、ウルフパックを中心に立て続けに襲いかかったメカトラ、そして繰り返された落車。中でも目の前で転ばれたワウト・ファンアールトは一時10秒ほどの遅れをくらい、追走に少々脚を使う羽目となった。
全部で3つある「5つ星セクター」の1つ目を抜け出し、メイン集団は15人ほどに絞り込まれた。一方で逃げ集団は再び17人にまで膨れ上がる。一旦仕切り直しの時間帯を利用して、コルブレッリがアタックを打ち、数人を率いて先行を試みたことさえもあった。すなわち最終2位は朝からの逃げ集団、最終覇者は第2集団、最終3位は追走集団……というややこしい状況を、ファンデルプールが力づくで回収しにかかった。
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