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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第19ステージ】仲間に支えられた絶好調男マグナス・コルトが今大会3勝目!「彼なしではなにも出来なかった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかただ肝心のデンツはやすやすと逃げに踏みとどまった。一方でスタナードは後方メイン集団へと下がって行ったのだが……これはバイクエクスチェンジの作業復帰を意味した。残り46km、DSMの追走隊列に、バイクエクスチェンジカラーも加わった。
2チームが力をあわせたことで、追走の威力はますます増した。いまだ約1分あったタイム差は、ほんの10kmほど走っただけで30秒に縮まった。もはや吸収は時間の問題かと思われた。予想外の集団スプリントフィニッシュへ向けて、流れが傾き始めた……。
しかし初グランツールを戦う20歳が、凄まじい抵抗を見せる。残り34km。2年前のジュニア世界王者は、この日最後の上り坂で大きく加速を切った。デンツと少し言葉を交わした直後だった。
「何人か奇妙な作戦を続けている選手がいた。だから上りで彼らを蹴落とすのが、最善の策だと判断した」(シモンズ)
すぐに反応したオリヴェイラと共に、シモンズは全力を振り絞った。上り坂のてっぺんの中間ポイントさえ、脇目も振らずに突き進んだ。直後に5選手が追い付いてきた時、協力しない輩はすべて消え去っていた。もちろんアントニー・ルーは、後方のアルノー・デマールのことを考えなくもなかったようだ。それでも2009年大会で「秒差なし」逃げ切り勝利を実現させた34歳は、「先頭交代を抜けることは絶対にしなかった」と断言する。
残り26km、つまり先頭は7人に絞り込まれた。シモンズ、オリヴェイラ、バジオーリ、クロン、クラドック、コルト、ルーは、完璧な共同戦線を張った。「誰ひとり策を弄する選手はいなかった」(シモンズ)し、「みんな恐ろしいほど全力で先頭を回した」(ルー)。警戒合戦で脚が止まることも、抜け駆けアタックでリズムが崩れることもなかった。7人は決して先頭交代を止めなかった。
30秒あった余裕は、DSM隊列のがむしゃらな牽引で一時20秒にまで縮まったが、残り8kmで再び30秒へと広がった。ラスト7kmでシモンズは逃げ切りを確信し、ラスト5、6kmでコルトも信じ始めた。バルデやストーラーといったピュアクライマーたちの牽引作業は、もはや限界に達していた。そして残り2.5km。前方にいまだ2人を残すEFと、マイヨ・ロホ擁するユンボ・ヴィスマとが、プロトン前方で減速を促した。約190kmも続いてきた追走に、終止符が打たれた。
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