人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サイクル ロードレース コラム 2021年9月2日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第17ステージ】豪華な2人のクレイジーな冒険!圧巻の強さを披露したログリッチを気高きベルナルも称賛「彼は勇敢だった」

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
  • Line

しかし、山頂を越えると、またしても長くテクニカルな下りと長い谷間がやってきた。しかも今ブエルタ初の雨が降り出した。ただオリヴィエ・ルガックだけが軽々と下っていく一方で、逃げの仲間たちは濡れた路面を恐れた。「みんなすぐに追い付いてくると思った」という元ジュニア世界王者に、とうとう誰も追い付いては来なかった。他の選手たちは谷間の底ですべて回収された。上りでイネオスが加速を強行したせいで、一旦は遅れたマイヨ・ロホのオドクリスティアン・エイキングも、下りでユンボ・ヴィスマが安全走行を心がけたおかげで、無事に集団復帰を果たした。

3つ目の山道に差し掛かると同時に、再びイネオスが加速へと舵を切った。すでにステージ序盤から攻撃的に走り続けてきた英国チームは、残り64km、パヴェル・シヴァコフとトーマス・ピドコックとで猛烈なリズムを刻んだ。ひとり逃げていたルガックはすぐに前から引きずり降ろされた。わずか2kmほどでエイキングは耐えられなくなり、後方へと突き放された。集団はみるみるうちに小さくなっていく。

フィニッシュまで61km。イネオスの仲間たちの後押しを得て、総合7位ベルナルが、突如としてアタックに転じた。総合首位との4分21秒差を、なにより総合3位ログリッチとの2分45秒差をひっくり返すための、奇襲に出た。「僕に失うものなんかなにもない。総合5位だろうが10位だろうがどうでもいい」と、2019年ツールのマイヨ・ジョーヌにして、2021年ジロのマリア・ローザには、すべてを失う覚悟が出来ていた。

「僕には脚があったし、トライする必要があった。それだけさ。ただ誰かの後輪に留まっているだけなんて嫌だった。これは僕自身に対するリベンジでもあった」(ベルナル)

ベルナルの衝撃的なアタックに、迷わず飛び出したのは、まさかのログリッチだった。総合有力勢の中では最も上位につけ、特に問題なく走りきれば、この日の終わりにはマイヨ・ロホが手に入るに違いなかった。そもそも最終日の個人タイムトライアルのおかげで、東京五輪個人TT金メダリストは、開幕時から圧倒的に有利だった。そんな安全な場所を捨てて、ログラはベルナルの賭けに乗った。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!

サイクル ロードレースの放送・配信ページへ