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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第9ステージ】33歳のダミアーノ・カルーゾが15回目のグランツールで驚異的な逃げ切り勝利!「残り2kmでようやく勝てると確信した」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかさらには、かつて双子のイェーツのアシスト役だったヘイグが、今は敵チームの一員としてイェーツの後輪からアタックを打った。総合の驚異となりかねないバーレーンの代替リーダーを、見逃すわけにはいかず、イェーツは追走を余儀なくされた。ジロではダニエル・マルティネスが最終盤の窮地を何度も救ってくれたが、ブエルタのベルナルは、あとは自力で山頂を目指すしかなかった。
カルーゾの歓喜から1分05秒後、ログリッチが山頂へとたどり着いた。総合でわずか25秒差につけていたマスを、スプリントで1秒引き放し、さらに区間2位のボーナスタイム6秒も手に入れた。3位ボーナス4秒に終わったマスは、ログリッチからは3秒失ったものの、他のあらゆる総合ライバルを大きく突き放した。また1分44秒遅れにフィニッシュした3人組では、ロペス、イェーツに先行し、ヘイグが4位に滑り込んだ。2分07秒遅れの区間7位にはマーダーが、その3秒後にチッコーネとベルナルが続いた。
つまりバーレーンが区間1位、4位、7位と好成績を並べ、当然ながら、チーム区間首位の座を勝ち取った。チーム総合成績も2位に浮上し、今ジロに続く首位の座も狙える位置につける。残念ながらランダはログリッチからこの日だけで約4分失い、総合争いから大きく遠ざかったものの、ヘイグが1分21秒差の総合4位にジャンプアップ。しかもマーダー総合12位、カルーゾ15位、ランダ16位と総合トップ20に4人が並ぶ。
現在チーム総合首位につけるモビスターは、個人総合2位に28秒遅れでマスが、3位に1分21秒遅れでロペスがそれぞれ浮上。両者は2018年ブエルタ最終成績とまったく同じポジションにつけたことになる。ちなみに3年前は別々のチームで走っていた。その2018年ブエルタはアダムがスーパーアシストぶりを発揮して、サイモン・イェーツが総合優勝を飾ったが、やはり今年チームを変わったアダムは、イネオス組として現在総合6位・2分07秒につける。5位・1分52秒差ベルナルとともに、総合順位自体は上がったが、タイム差自体はログリッチから遠ざかった。
そのログリッチはマイヨ・ロホで休息日を迎えた。初日タイムトライアルを制した後、3日目で一旦は他人に譲り渡した。6日目に再び手に入れたものの、諸々の責任と共に手放したいような素振りを見せ、すべての山頂フィニッシュ勝利を逃げ選手に惜しみなく与えたが、結局は第1週目を赤色で締めくくった。いわゆる節約モードで走りつつ、もはや1分圏内には2位マス(28秒)しか残っていない。
「まだ始まりに過ぎない。今は休息をしっかり取り、今後も全チーム一丸となって過ごしていかねばならない。この先のステージも楽しみにしているよ」(ログリッチ)
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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