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【Cycle*2021 クラシカ・サンセバスティアン:プレビュー】激坂を乗りこなし、全速力で下った先で「大きなベレー帽」を手にするのは誰か
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかクラシカ・サンセバスティアン
昨夏はひっそりと静まり返ったスペイン・バスク地方の、大西洋岸の町サンセバスティアンが、今年は燃えるような活気を取り戻す。ビーチリゾート客で華やかににぎわい、もちろん、世界最高峰のプロトンも帰って来る!
ツール・ド・フランスという大きな山を乗り越えた直後の、シーズン後半戦の始まりを告げる真夏の山岳大戦。選手たちにとっては、東京五輪という例外を除けば、3カ月ぶりの本格派ワンデークラシックでもある。この先には大きな目標である世界選手権や、秋の終わりのモニュメント、イル・ロンバルディアへと続くイタリアワンデーシリーズも待っている。3週間の長旅から大急ぎで身体と気持ちを切り替え、大切なたった1日に向けひたすら集中し、6時間前後のバトルにすべてをぶつけねばならない。
スペイン唯一のUCIワールドツアーワンデーレースは、おなじみサンセバスティアンからサンセバスティアンまで。美しいビスケー湾を起点に、8の字を描くように走り回る。しかし全長223.5kmのコースは、むしろ起伏天国。等級のつけられた6の厳しい上りと、名もなきたくさんの坂道たちがちりばめられている。
中でも本格的な優勝争いが勃発するのは、フィニッシュ手前約70km。サンセバスティアン伝統の山ハイスキベルの全長7.9km、平均勾配5.6%、最高8.5%の山道が、25チーム・175選手で構成された集団を小さく絞り込んでいく。
かつてはコース後半に2度よじ登ったハイスキベル峠だが、3年前から、開催委員会は登場回数を1度に減らした。決して難度を下げるためではない。その逆だ。代わりに距離は短いけれど、勾配がはるかに厳しい激坂エルライツ峠が、ハイスキベルの次に組み込まれた。全長3.8kmの坂道の、平均勾配は10.6%。麓からてっぺんまで一定して勾配が高く、脚を緩める隙などそこには一切存在しないない。
恐るべき登坂競争の締めくくりは、2014年から最終峠の地位を守り続けるムルギル・トントラ峠だ。登坂距離2.1km、平均10.1%。エルライツとは正反対の、極めて緩急の多い激坂には……20%超ゾーンも3か所待ち受ける!
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