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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第20ステージ】特別な脚ですべてを凌駕したファンアールトが2つ目の区間勝利!総合優勝に王手をかけたポガチャル「今の瞬間を素直に堪能している」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかそして全142人の最後に走り出したポガチャルが、明るい光の色に包まれて、3週間の総合争いを締めくくった。57秒差を大逆転した10カ月前のように、スーパーカー並みにぶっ飛ばす必要はもはやなかった。そこから始まる総合争いに向けて、ポールポジションを全力で獲りに行った第5ステージとも異なる。この3週間の戦いで、総合2位以下には、すでに埋めることなど不可能なほどの大差をつけていた。この日の30.8kmで、ヴィンゲゴーから25秒詰められたが、いまだに差は5分20秒も残している。
マイヨ・ジョーヌ
「レース前は『よし、全力で行こう』と自分を鼓舞したし、モチベーションも高かった。でも、もしかしたら、アドレナリンが少し足りなかったのかもしれない。たしかに最速の1日ではなかったね。でも、走りながら、喜びを噛みしめた。沿道からの応援の声にも励まされた。自分のベストは尽くしたし、パフォーマンスにも満足してる」(ポガチャル)
フィニッシュラインでは、小さく、拳を握りしめた。昨大会王者から、今大会王者へと呼称が変わった瞬間だった。何事もなければ、この24時間後には、ポガチャルはシャンゼリゼの表彰台にマイヨ・ジョーヌを着て立っている。
「今はこの瞬間を楽しみたい。リラックスして、明日のパリを満喫したい。去年は自分を含め、誰も僕が勝つとは思ってさえいなかったからね。だから感情が右から左へとひたすら大きく揺さぶられて、楽しむどころじゃなかったんだ。でも今年はもっと今の瞬間を素直に堪能している。それに去年はコロナ禍によるあらゆる規制のせいで、あまりお祝いができなかった。でも、今年は直後に五輪があるから、やっぱりお祝いはできないんだけど(笑)。五輪後には……ただ静かな時間を過ごしたい。穏やかに、心を鎮めるために」(ポガチャル)
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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