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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第15ステージ】セップ・クスが自身初のツール区間勝利!苦手な暑さも克服したポガチャル「今やすっかり調子よく走れている」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかフランスとアンドラの国境に聳え立つアンヴァリラの山道が、標高2000mを超えた頃、32人の逃げ集団は急激に小さくなっていった。この日を最後に途中棄権を決めていたニバリーー東京五輪に向け準備するためーーのため、トレックの残り2人が強力な牽引を行ったせいであり、高地コロンビアで生まれ育ったキンタナが、風の中で鋭いアタックを打ったせいでもあった。
ただし数人は、間違いなく、自主的に脱落していった。例えばイネオスの2人組。すでに後方では仲間たちが強力な牽引を敢行し、ポガチャルのアシストをひとり残さず吹き飛ばしていた。次は前にいた2人の番だった。フィニッシュ手前45km、アンヴァリラ山頂で、ディラン・ファンバーレとジョナタン・カストロビエホは待っていた。そこから総合5位リチャル・カラパスのために、順番に献身を尽くした。メイン集団を10人ほどにまで小さく絞り込んだ。
その山頂から下り始めた直後に、メイン集団からギヨーム・マルタンが遅れ始めた。ジャージの前ジッパーを閉め損ねたせいなのか、前日の大逃げで体力を消耗していたせいなのか。総合2位に浮上したばかりのフレンチクライマーにとって、一瞬の遅れが命取りになった。後方から追いついてきたマティア・カッタネオの後輪に張り付き、やはり「前待ち」していたルーベン・フェルナンデスも力を貸したが、もう2度とメイン集団には戻れなかった。最終的には総合ライバルたちから4分近く遅れてフィニッシュ。前日取り戻したタイムの大部分を失い、再び2日前と同じ総合9位へと陥落した。
「こうなることは予測していた。昨日の奮闘の後だけに、苦しむだろうと想像していたんだ。アンヴァリラの上りでは千切れる寸前で、下りではもはや意識が朦朧としていた。下りの最初のカーブで遅れてしまったなんて腹が立つけど、僕は全力だった。谷間でも追走にかなりの体力を失った。あとはド根性だけで走り抜いた」(マルタン)
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