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サイクル ロードレース コラム 2021年7月11日

【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第14ステージ】43kmの独走劇!バウケ・モレマが4年ぶり2度目のツール区間勝利「すべての勝利がスペシャル」

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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突き進むモレマの背後では、幾多の試みが繰り広げられた。イギータやチャベスは幾度となく加速し、カッタネオは強力な独走力で、コンラッドは大きなアタックを試みた。しかし、もう2度と、モレマの背中をとらえることはできなかった。プラタナスの美しい並木道で、モレマが幸福な勝者となった1分04秒後、コンラッドとイギータがフィニッシュラインを越えた。

同時にマルタンを完全に振り払うこともなかった。「ディーゼル」なフランス人クライマーはたとえ突き放されても、決して折れることなく、黙々とペダルを回し続けた。後方プロトンだって、残り30kmを切る頃から、総合2位ウラン擁するEFエデュケーション・NIPPOや総合3位ヨナス・ヴィンゲゴーのユンボ・ヴィスマはスピードアップに努めたのだ。しかし集団の制御権を握るマイヨ・ジョーヌ自体が、「マルタンのことは全然気にかけていなかった」。おかげでマルタンが区間勝者から1分28秒遅れでフィニッシュしたのに対し、プロトンはのんびり6分53秒遅れで1日を終えた。

つまり総合上位入り目指して走った例年とは違い、生まれて初めて「区間勝利と山岳賞」だけを狙ってツールに乗り込んできたマルタンが……そのいずれの目標をいまだ叶えられていないというのに、なんと総合2位へと浮上してしまった!

「今年はリスクを冒す走りを心掛けてきたんだ。それが今日、報われた。総合タイムが近すぎて、逃がしてもらえないんじゃないかとも悩んだんだ。でもUAEはあらゆる動きに反応することなどできないに違いないと考えた。運命の扉をこじ開けに行った。ただし総合2位といっても、単なる『暫定』に過ぎない。2回目の休息日の2日前に2位、ってだけさ。シャンゼリゼでの2位ではないんだよ」(マルタン)

たしかに第8ステージでポガチャルが総合首位の座に立って以来、総合2位の座はワウト・ファンアールト、ベン・オコーナー、リゴベルト・ウラン、そしてマルタンとほぼ日代わりで変動してきた。また2番手とは言えども、マルタンは首位から4分04秒差。ポガチャルまでの距離よりも、3位に後退したウラン(5分18秒差)から4位ヴィンゲゴー、5位リチャル・カラパス、6位オコーナー、7位ケルデルマン、8位アレクセイ・ルツェンコ、9位エンリク・マス(7分11秒差)までの距離のほうが3分07秒差とはるかに近いのだ!

マイヨ・ジョーヌ交代劇が、この先パリまでに見られるかどうかは定かではない。ただ2番手以降は、哲学者マルタンが指摘する通り、今後も入れ替わる可能性は極めて高い。

仲間とフィニッシュしたマイヨ・ジョーヌ

仲間とフィニッシュしたマイヨ・ジョーヌ

「誰が一番の危険人物なのか。難しい質問だね。正直言って分からない。モン・ヴァントゥではヴィンゲゴーがとてつもなく強かったけど、でも僕は総合トップ10の選手全員を危険人物とみなしている。5分から8分というのは、もしも僕がバッドデーに襲われたり、彼らが逃げに乗ったりすれば、それほど縮めるのは難しくないタイムだ。全員に注意してかからねばならない」(ポガチャル)

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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