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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第13ステージ】偉大なる「カニバル」の記録に並ぶ歓喜の勝利!カヴェンディッシュ「苦しんで手に入れた1勝であり、思い出深い1勝だ」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかいまだフィニッシュまで70kmも残っているというのに、タイム差は早くも1分半に縮まっていた。もはや逃げ集団は風前の灯火……。ところがベネットの突然のアタックをきっかけに、3人はやたらとハイテンションな加速合戦へと雪崩れ込んでいく。しかし激しく攻めすぎたせいか、最初に脱落したのがベネットだ。力を貯めていたゴールドスタインの大きな一発に、脚が止まった。
前に留まった2人は、その後もまるでスポ根漫画のような、熾烈なタイマン合戦を繰り返す。残り53kmで、笑い合い、肩を組み合いプロトンに吸収されていくまで。
逃げ集団が打ち合いを始めたのとちょうど同じ頃、後方プロトンも突如として活気付いた。火をつけたのはフィリップ・ジルベール。雪崩のように小さな謀反が多発し、当然のようにドゥクーニンクの誰かがチェックに向かう。必ずアルペシンも穴を埋めに走った。スピードは恐ろしいほどに上がり、プロトン内は急激に緊迫感で満ちていく。
残り62km。蛇のようにうねる細い下り坂を、プロトンは時速75km超で走っていた。その時だ。集団落車が発生し、30人近い選手が地面に転がり落ちた!
犠牲者の中にはドゥクーニンク牽引隊長ティム・デクレルクや、ポガチャルの山岳アシスト役ラファウ・マイカの姿もあった。道路脇の崖下に投げ出された選手も多かった。幸か不幸か、生い茂る低木がクッションになり、おそらく最悪の事態だけは避けられたのだろう。それでもロジャー・クルーゲとサイモン・イェーツが傷ついた体で大会を離れた。初日から落車続きの2021年ツールから、早くも33人が去り、5月のジロをたった2人で終えたロット・スーダルは、今ツールでも残るは4人しかいない。
大量落車の直後も、プロトンの火照った雰囲気は一向に収まらなかった。小さくなったメイン集団で、アタックの試みは相変わらず繰り返された。しかし世界王者ジュリアン・アラフィリップが最前線にどっしりと居座り、ほぼ全ての企てを潰して回った。マイヨ・ジョーヌ擁するUAEチームエミレーツも慎重を期して前線で隊列を組んだ。徐々にスピードは緩まっていき、落車分断で遅れた選手の大部分がメインプロトンへの合流を果たした。
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