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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第11ステージ】マルチすぎる脚質を誇るワウトが神々しい姿でモン・ヴァントゥを制す「僕はいまだ復活途上にいる」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「ツール開幕前には、このステージを勝てるなんて期待さえしていなかった。でも昨日、行ける、と感じたんだ。今朝はチームメートたちにも逃げを宣言した。信じさえすれば、すべてが可能なのさ」(ファンアールト)
ただし真っ先に飛び出したアラフィリップとは異なり、ベルギーチャンピオンを含む13人の追走集団が出来上がったのは、ようやく50kmほどの奮闘の果て。そこからさらに40km近い追走をも余儀なくされる。そして残り約100km。モン・ヴァントゥへの1度目の登坂口で、ついに前を行く4人と合流を成功させた。計16人に大きくなった逃げ集団は、後方プロトンに5分20秒差をつけ、ツール史上初のモン・ヴァントゥ二重登坂へと乗り込んだ。
大急ぎで集団内のセレクションを仕掛けたのは、やはりアラフィリップだった。山道のちょうど半ばで、せっかちに加速を切ると、逃げを7人に絞り込む。アラフィリップ、ファンアールト、アントニー・ペレス、ヴェガールステイク・ラエンゲン、ルーク・ダーブリッジ、そしてジュリアン・ベルナールとケニー・エリッソンド。後者2人のチームメート、バウケ・モレマも1度は遅れをとったものの、最初はピエール・ローランと共に、最後は単独でブリッジを仕掛けた。トレックの同僚たちが逃げの最後尾で待っていてくれたおかげで、山頂へたどり着く前に、無事に先頭集団へと加わった。
ちなみにイケイケなアラフィリップは、本日1回=ツール史上17回目のヴァントゥ先頭通過さえ、積極的に獲りに行く。
ジュリアン・アラフィリップ
「自分のために楽しみたかったんだ。時にはこんな風に、計算をしない走りも大切さ。先頭でモン・ヴァントゥを通過できたのは嬉しかった。あの山に登ったのは初めてで、つまり小さな歴史を刻むためだった」(アラフィリップ)
もちろん8人中3人のトレックが、その後は逃げ集団で主導権を握る。まずは1987年にこの禿山で個人タイムトライアルを制したジャンフランソワ・ベルナールの息子、ジュリアンが精力的な牽引を行った。2回目の登坂口で仕事を終えると、次はエリッソンドの番だった。2013年にスペインの魔の山アングリルを勝ち取ったポケットクライマーは、フランス版魔の山でも先行を開始した。
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