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サイクル ロードレース コラム 2021年7月4日

【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第8ステージ】怪物が力の差を見せつける激走でマイヨ・ジョーヌ奪還!タデイ・ポガチャル「攻撃は最大の防御なり」

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「歓声がすごくて、無線が良く聞こえなかった。でも12秒という数字が聞こえなかったのは、逆にラッキーだったのかも(笑)。山頂を先頭通過すれば勝利のチャンスがあるとは分かっていたけれど、その後の下りは慎重にこなしたんだ。ひどく滑りやすかったし、コーナーで何度もホイールが横滑りするのを感じたから」(トゥーンス)

幸いだったのは、コロンビエール山頂を2位通過し、ボーナスタイム5秒を手に入れたポガチャルもまた、ダウンヒルを用心深く行ったこと。追い越したはずのイサギレやウッズに、再び追いつかれるほど、安全を優先した。おかげでトゥーンスはタイム差を12秒から再び開き……フィニッシュラインに悠々トップで滑り込んだ。ほんの2週間前に亡くなった祖父を想い、雨雲に覆われた天を指さしながら。

大歓声に包まれてフィニッシュしたトゥーンス

大歓声に包まれてフィニッシュしたトゥーンス

「2年前にツールで区間勝利を手に入れた時、新聞記者が祖父母を取材したんだけど、2人は僕のことをすごく誇らしく思ってくれたんだ。今回もきっと、祖母は、僕を誇らしく感じていてくれてると思う。今この瞬間をひとりで過ごしている彼女が、苦しんでいないよう願ってる」(トゥンス)

その2年前に、「スーパー」プランシュ・デ・ベルフィーユの激坂の頂点を勝ち取ったトゥーンスにとって、ツール区間2勝目。ベルギー選手が山岳ステージを2つ以上制したのは、なんでも1970年代後半から80年代前半にかけ山岳王として活躍したルシアン・ファンインプ以来の快挙なんだとか。また所属チームのバーレーン・ヴィクトリアスにとっては、前日のマテイ・モホリッチに次ぐ2日連続の区間勝利。山岳ジャージもモホリッチからプールスへと、チーム内に留めた。

トゥーンスから49秒遅れでポガチャルは激走を終え、そのポガチャルが置き去りにしてきたメイン集団は、9人にまで人数を減らして4分09秒差でフィニッシュ。カラパスもしばらくは追走を試みたが……結局は元のメイン集団で1日を終えている。またフォルモロの加速がきっかけで集団から脱落しながらも、決して投げ出さずに孤独な奮闘を続けたファンアールトは5分45秒遅れ。マイペースを刻んだファンデルプールは21分47秒を失った。

そしてディフェンディングチャンピオンの肩に、黄色いジャージが戻ってきた。なにより総合2位ファンアールトに1分48秒差を、総合3位以下には早くも4分38秒差と、まるでシャンゼリゼの最終成績のような大きなタイム差を押し付けてしまった。

「今後もあらゆる山岳ステージでアタックを打つかどうかなんて分からない。おそらくは、しないだろうな。今年の第1週目は本当に厳しくて、明日もまた最高に難しいステージが待ち構えている。このステージが何かを変えてしまう可能性だってある。だから僕はベストを尽くしつつ、少し守備的な走りも心掛けていくつもり」(ポガチャル)

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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