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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第4ステージ】ファンが待望した世界最速の帰還!嬉し涙に濡れたカヴェンディッシュ「僕の瞳には執念の炎が燃えていた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか手に汗握るサスペンスは、フィニッシュラインまで200mを切った直後に、非情にも打ち切られた。吸収を待たずにスプリントを始めた俊足たちに、一気に飲み込まれた。ファンムールは49位で区間を終え、「たいへんよくがんばりました」の証の赤ゼッケンだけで満足するしかなかった。
「フィニッシュラインに一番にたどり着くのは難しいと分かっていたけれど、全力で走り続けた。だって僕はいつだって自転車の上で100%を尽くしてきたし、息の根を止められるまで戦い続けてきたからね。ただ最後の上りが僕の脚にはきつすぎた。……勝利まであと200mだったのに!」(ファンムール)
代わりに勝利の雄たけびを上げたのはカヴェンディッシュだった。6年前に同じジャージを着て、同じ町の、まったく同じフィニッシュラインを制した。そんな勝手知ったる道で、前日の覇者ティム・メルリールから発射されたヤスパー・フィリップセンの後輪に一瞬飛び込むと、完璧なタイミングで最前列へと飛び出した。並み居る若造たちを蹴散らし、自身にとってプロ通算152勝目を手に入れた。
「僕の瞳には執念の炎が燃えていた。前回ここでフィニッシュを争った時もやはり、執念に燃えていた」(カヴェンディッシュ)
かつては「世界最速」の名をほしいままにし、4年連続でシャンゼリゼ区間も制した。まさにこの世の春を謳歌してきたカヴは、しかし、ここ数年間はまさにどん底ではいつくばってきた。エプスタイン・バール・ウイルスの感染症による不調が続き、幾たびもの怪我に苦しみ、昨秋はチームが見つからずに「もしかしたらこれが現役最後のレースになるかもしれない」とインタビュー中に泣き崩れたことも。あれから8か月。ウルフパックの一員となったカヴェンディッシュは、フィニッシュエリアで号泣した。今度は嬉しい涙だった。自分を信じ、力を尽くしてくれたチームメートを、スタッフを、1人1人力いっぱい抱きしめ、特別な瞬間を分かち合った。
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