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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第1ステージ】暴力的な努力の果てに掴んだ栄光。アラフィリップ「だからこそ勝利はよりいっそう美しいものになった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかレーススタート前の選手たち
その間にスプリンターのはずのファンポッペルが山頂を1つ手に入れた。昨大会2日目に山岳賞首位に立ちながら、赤玉を羽織る前に落車事故で大会を去ったぺレスもまた、リベンジのポイント収集を行った。その背後で2位に甘んじたスヘリンフは、残り約84km、4つ目の坂道めがけてがむしゃらに飛び出した。
「僕よりスプリントに強い選手がいると悟ったから、次の上りでは遠くから仕掛けようと決めた。すぐに差がついて、しかもその差が大きいことに気が付いたから、自分にこう言いきかせたんだ。……レッツゴー!」(スヘリンフ)
完全なる独走態勢に持ち込んだスヘリンフの、赤玉獲りの奮闘の背後では、残り62.7km地点で緑に向けた最初の戦いが繰り広げられた。残された中間ポイントを巡ってスプリンターたちがしのぎを削り、マイヨ・ヴェール経験者のペーター・サガンやマイケル・マシューズを退けたカレブ・ユアンが2位通過=集団内先頭通過。大会3日目にやってくる大会最初の本気スプリントの前に、上々な脚の調子を見せつけた。
そしてこのスプリントをきっかけに、メインプロトンは徐々に最終盤の戦闘モードへと切り替わっていく。総合本命を擁するチームがこぞって前線に競り上がり、狭く曲がりくねった道で、隙間なく隊列を組んだ。約3週間前にプロ初勝利を上げたばかりのスヘリンフが、5つ目の山岳でも先頭通過をさらい取り--頂上では思わずガッツポーズさえ飛び出した--、23歳でツール・ド・フランスで初めての山岳ジャージを確定させた喜びの直後に……同じ場所が混乱の舞台に変わる。
まさにドミノ倒し。道路右端で前から2番目を走っていたトニー・マルティンが、観客が手にしていたメッセージボードに接触し、激しく地面に転倒。当然のように背後のユンボ・ヴィスマ隊列数人も巻き込まれ、プロトンの半分以上がなぎ倒された。しかも前線で被害を免れたのはほんの20人程度だったというのに、前に5人残していたドゥクーニンク・クイックステップがすぐには加速を止めなかったせいで……無数の犠牲者たちは時には小集団で、時には1人で追走を余儀なくされた!
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