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サイクル ロードレース コラム 2021年6月25日

Tourの景色に誘われて | ポー

ツール・ド・フランス by 山口 和幸
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このあたりの名物料理は、ガチョウやブタなどの肉とインゲン豆を煮たカスレだ。またコースを走れば、沿道に「フォアグラあります」という看板を掲げた農家が点在する。

少女ベルナデットがマリア様に会い、泉を見つけたというルルドのほこら 

少女ベルナデットがマリア様に会い、泉を見つけたというルルドのほこら 

ツール・ド・フランスではボルドーと同様に伝統的なゴール都市としてフランス選手が頑張る傾向にある。2010年はピレネー3日目の第16ステージとしてポーにゴールした。Bboxブイグテレコムの新城幸也も出場していたが、チームメートであるピエリック・フェドリゴ(フランス)がゴール勝負でランス・アームストロングら7選手を制して優勝した。

2012年にポーにゴールしたときは、ピレネーを離れて比較的平たんなコースで行われた。FDJビッグマットに移籍していたフェドリゴがガーミン・シャープのクリスティアン・バンデベルデとの一騎打ちを制して優勝。ポーで連勝を挙げた。

特筆すべきなのが、新城(当時のチーム名はヨーロッパカー)の活躍ぶり。波状的なアタック合戦が一段落した31km地点で、新城ら5選手が集団を抜け出し、これに4人が追走して9人の第一集団を形成していた。59km地点で捕まるが、新城のチームエースであるトマ・ボクレールがカウンターアタックするなど、チームから求められた役割をしっかりとこなしていたのはさすがだ。

2017年もポーは平たん区間のゴール地点となり、このときばかりはクイックステップフロアーズのマルセル・キッテル(ドイツ)が2日連続のスプリント勝利で、この大会5勝目、大会通算14勝目を挙げた。

ル・トゥルマレ峠はいつもサイクリストでいっぱい

ル・トゥルマレ峠はいつもサイクリストでいっぱい

続く2018年。グルパマFDJのアルノー・デマールが伝統のポーで、コフィディスのクリストフ・ラポルトとのフランス人対決を制して大会通算2勝目を挙げた。フランスのスプリンターが平たんステージで1位と2位を占めたというのは、じつは40年ぶりだったという。

2019年のポーではこの大会唯一の個人タイムトライアルが行われ、フランスのファンが熱いエールを送る中、マイヨジョーヌのジュリアン・アラフィリップが第1計測ポイント、第2計測ポイント、さらに第3計測ポイントをトップタイム通過していった。最終的にタイムトライアルを得意とするゲラント・トーマスを制してトップタイムでステージ優勝した。マイヨジョーヌを死守したことが決まった瞬間、ポーのサルドプレスからは拍手がわき起こるほどだった。

「信じられないよ。本当に幸せだ。ゲラント・トーマスにこれだけの差をつけて優勝できるなんて」とアラフィリップ。チームの監督もスタッフもこの偉業に感極まって涙を流したという。

ポーの奇跡。ポーはいつもフランス勢の味方だ。そしてマイヨジョーヌは勇者に想像以上のパワーを与えてくれる。

文:山口和幸

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山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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