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2021年はリヴォリ通りが工事のため狭くなったことで、コンコルド広場の最終コーナーが難しくなり、そのためゴールラインを凱旋門側に300m移動させたという。
2013年の第100回大会
23日間の長丁場を共にした広告キャラバン隊には、最終日にごほうびが用意されている。選手到着の2時間近く前に彼らの車両がシャンゼリゼを1周だけ走ることが許されるのだ。キャラバン隊だけではない。大型カミオンの施工班、沿道の危険箇所に干し草の束を置いて選手の安全を確保してきた道路班も、大観衆が見守る世界で最も華やかな大通りを映画の主役になった気分で走るのだ。
残念ながら取材陣はシャンゼリゼを1周できない。厳密にはチュイルリー公園を回ってリヴォリ通りからコンコルド広場に入った瞬間に、「はい、アナタは地下駐車場ね」と、シャンゼリゼ大通りの直前で真っ暗な地下道に案内されるというオチだ。
表面的には華やかで、興奮の最高潮に感じられるようなパリ。ただし、そこには夏祭りが終わってしまうさみしさが随所に漂う。最終日前日のゴール地点で総合優勝者は記者会見を済ませてしまう。パリのゴール後は撮影をメインとした表彰式があるものの記者会見はもう行われない。
もちろん最も派手なステージ優勝や積極果敢な走りで敢闘賞を獲得するなど、それは特別な位置づけとして評価されるのだが、23日間を通してのツール・ド・フランスはすでに前日で終了したと言ってもいい。イタリアあるいはスペインのチームスタッフはパリに来ることなく帰宅して、次のレースに備えているなんてこともある。
パリに本社や自宅のあるフランス人記者も、最終日には久々の出社をしたりするので、もうその姿を見ることはない。最終日前日までの取材メモで原稿を書く。華やかなシャンゼリゼの現場はカメラマンに任せておく。過酷だけど思い出深いフランス一周の旅も選手とともにフィナーレを迎える。
シャンゼリゼの表彰式が終わるころには、さすがのフランスも日の短さを感じる。夏祭りが終わった
文:山口和幸
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山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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