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サイクル ロードレース コラム 2021年6月7日

【クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ 第8ステージ:レビュー】仮想ツール制したリッチー・ポート「ツールに十分匹敵する勝利。次は僕がGやテイオをサポートする番だ」

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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「いや、ツールについては幻想を抱くつもりはないよ。G(トーマス)やテイオ、そしてチームメートが僕を助けてくれたように、今度は彼らをサポートする番だ。彼らに恩返しがしたい。それだけははっきりさせておくよ」(ポート)

イネオス・グレナディアーズへの復帰条件とされた「ツールでの山岳アシスト」。そこは自身も、チームも揺らがない。真相は、近いうちに必ず明らかになる。

かたや、マイヨ・ジョーヌを賭けた争いのはるか先では、ニュースターが誕生していた。マーク・パデュン、前日のステージ覇者がまたも驚異的なクライミングを見せたのだ。

「プランは逃げに入って、ジャックのために前待ちをすることだった。最後の上りで仕事をする準備をしていたのだけれど、チームカーから山岳賞が狙えるぞ、と言われて…」(マーク・パデュン)

自身のために走ることをチームから許可されると一気に勢いづいた。カテゴリー山岳の頂上ではポイントを次々と確保し、コル・ド・ジュ・プラーヌの入口では一緒に逃げてきた選手たちを全員振り払った。この時点であったメイン集団との2分30秒差は、頂上に到達すると3分以上の開きに。もはや、逃げ切りへはトラブルを避けるだけだった。

「最後の上りの途中で後ろとは2分差あると聞かされて、すべてが楽になったよ」(パデュン)

前日の勝利では「夢なら醒めないで!」と気持ちをストレートに語った24歳は、この日も喜びを体いっぱいに表した。残り1kmを切ってからは、チームカーに拳を掲げ、沿道には両手を振り、その表情は破顔一笑。高地トレーニングの失敗で体重を落としきれず苦しんだ日々を払拭する、会心の逃げ切り。

すっかり今大会の顔で、今季好調のバーレーン・ヴィクトリアスを象徴する1人ともなったウクライナ人ライダーに、ツールメンバー選出の芽はあるだろうか。「苦労もあったけど、今大会で脚の良さは実感できたよ」との素直な言葉は、チームに対して、そして観る者への最大のアピールだ。

日替わりでヒーローが現れ、日本勢唯一の参戦となった中根英登の献身的な姿に沸いたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ。ツール前哨戦との長年の呼び名にふさわしい、ハイクオリティのレースが展開された。チームへの忠誠を語るポートに、総合力という新たな可能性を示したルツェンコ、そして3年ぶりの王座奪還に向けてエンジンの動きは問題ないトーマス…本番に向けた楽しみが膨らむ8日間だった。

ツール・ド・フランス本番まで、あと2週間。勇者たちはドーフィネを足掛かりに、ロードレース最高峰の舞台へと突き進んでいく。

文:福光俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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