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【ジロ・デ・イタリア2021 レースレポート:第20ステージ】誰かを支え続けてきた男の美しいグランツール初区間勝利!ダミアーノ・カルーゾ「今日は僕が世界で一番幸せな男だ」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか2つ目の山を上り終える頃には、すでにカルーゾとバルデの側にいるのは、ビルバオとストーラーだけになっていた。ただ山頂でもちょっとした幸運が待っていた。バルデの元所属チームAG2R・シトロエンのスタッフが、DSMのエースにボトルを手渡ししたのだ。ちなみに前方の4人が山岳ポイントを回収したのは、AG2Rブシャールにとっては大歓迎。山岳賞2位ベルナルに1ptも渡らなかったおかげで、この時点で最終マリア・アッズーラを確定させている。
上りで後続とのタイム差を50秒にまで開いたバーレーン&DSMのタッグにとって、小雨降る下りもまた、幸運でしかなかった。またしてもマリア・ローザは減速を余儀なくされた。もはや2人しか残っていないアシストの1人、マルティネスが遅れたせいだ。おかげでフィニッシュ手前7.3km、2021年最後の山に上り始める時点でも、いまだカルーゾとバルデは40秒の余裕を有していた。
「正直に言うと、今ジロで一番難解な状況だった。バーレーンが飛び出していったときも、僕らは上手くコントロール出来ていると考えていた。でも彼らは逃げを捕まえて、どんどんタイム差を開いていってしまった。どう制御するべきなのか、悩まされた」(ベルナル)
山の麓まで全力を尽くしたストーラーは、静かに後退していき、そこからはビルバオが最後の力を振り絞った。後方ではいよいよ2020年ドーフィネ総合覇者マルティネスが、ベルナルのための仕事に取り掛かっていたが、昨ジロ総合5位ビルバオも負けてはいなかった。残り6.5kmで力尽きるまで、後方とのタイム差はまったく縮まらなかった。
両手を上げてフィニッシュするダミアーノ・カルーゾ
「ペリョは本当によくやってくれた。僕の勝利の70%は、彼のおかげだ」(カルーゾ)
背中を軽くぽんぽんっと叩き、ビルバオに感謝の意を告げた後、カルーゾは毅然と山を上り始めた。かつては自らもヴィンチェンツォ・ニバリやリッチー・ポートのために働いてきた。アシストの苦労は痛いほど知っている。このジロだってそもそもミケル・ランダのアシストとして乗り込んだ。ただ大会5日目のランダ途中棄権で、突如リーダー役に押し上げられ、「結果を出さねばならぬプレッシャー」も理解した。だからプロ2年目からずっとツール・ド・フランスで総合エースを任されてきたバルデが、一切前を引かないことなど構わずに、自分のリズムを刻み続けた。
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