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【ジロ・デ・イタリア2021 レースレポート:第12ステージ】初のグランツール区間勝利で友の胸で男泣き!ヴェンドラーメ「この勝利は、彼のものでもある」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか続けてベネットが前に飛び出す番だった。ところが後輪には、ヴェンドラーメがぴたりと張り付いていた。しかも勢いを利用してそのままカウンターアタックを打つと、直後に訪れた小さな下り区間で、単独で距離を開きにかかった。
「最後の上りでは、好都合なことに、飛び出す機会を見つけた。僕よりも上りが強い選手たちを、どうにか先回りしておきたかった。だって自分にも勝つチャンスがあると思っていたからね。上りでのセレクションに備え、エネルギーを温存し、ブリッジしてきた選手に飛び乗るつもりだった」(ヴェンドラーメ)
先行作戦は上手く行った。置き去りにされたライバルたち……特にベネットとブランビッラが互いの顔を見合う隙に、後方に一時は13秒ほどの差を開いた。最も恐れていた3kmの急勾配ゾーン(平均9.5%、最大14%)の大半を、1人先頭でこなすことが出来た。強豪2人の警戒合戦にしびれを切らしたクリス・ハミルトンが残り14kmで追いついてくると、予定通り背中に飛びついた。ベネットとブランビッラが残り12.5kmで追いついてきた頃には、すでに山道は緩やかになっていた。
ついに4人に絞り込まれた集団では、上りでも下りでも、ブランビッラが改めて何度もアタックを試みた。ブランビッラ曰く「スプリントで一番速いヴェンドラーメを振り落とすため」だった。ところが残り2.8km。ブランビッラが、最後尾で新たなアタックを算段しているタイミングだった。前方にいたハミルトンが、そのまま一切の駆け引きなしに、真っ直ぐなアタックを打った。これまで何度もそうしてきたように、ヴェンドラーメもためらわず後を追った。
後方にいたせいか、ブランビッラは一瞬反応が遅れてしまう。一方で体重58kgのベネットは「スプリントでは勝てないからブラフをかけるしかないんだ」と、つまり自らは追いかける素振りを見せず、敵の後輪にただ張り付いくことを選んだ。ブランビッラとベネットは、もう2度と、前の2人に追いつくことは出来なかった。
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