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【ジロ・デ・イタリア2021 レースレポート:第9ステージ】2019年ツール・ド・フランス総合覇者が涙のマリア・ローザ「すごく難しい2年間を過ごして来た。メンタル的にも、フィジカル的にも」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかあとはがむしゃらにペダルを回し、400mで逃げの2人を追い抜いた。ジュニア時代にマウンテンバイク世界選手権で2度メダルを手にしたベルナルは、勾配12%にまで達する土の道で、ひたすらダンシングを止めなかった。遠ざかる様子を一番近くで見ていたチッコーネはその様子を「ベルナルは別次元にいた」と表現し、本人は「自分自身の世界にいた」と語る。
「完全に集中しきった状態だった。ラスト1.5kmは全力だった。周りの様子など見ていなかった。他を突き放せたのかどうかさえ気にしなかった。ただ自分に言い聞かせた。『4分間フルガスでいけ。後はなるようになるさ』って」(ベルナル)
フィニッシュラインで両手を上げなかったのは、タイムを少しでも稼ぐため……ではなく、自分が先頭を走っているかどうかさえ定かではなかったから。それほど自らの走りだけに集中した終わりに、待ちに待った区間勝利が自らのもとへとやってきた。
フィニッシュ後に笑顔を見せるベルナル
「2019年ツール以来、すごく難しい2年間を過ごして来た。メンタル的にも、フィジカル的にも。だからこうして勝つことができたのは、僕にとってもチームにとってもとても大切なこと。自分が勝ったのだと気が付いた時、すごい感動に襲われた」(ベルナル)
2019年ツール・ド・フランスでは1区間も勝てぬままーーただし第19ステージは先頭で逃げており、季節外れの雹のせいで山道が通行不可能にさえならなければ、区間優勝していた可能性は大いにあったーー、マイヨ・ジョーヌに輝いた、昨夏のツールは背中の痛みに苦しみ、タイトル保守どころか、完走すら出来なかった。だからこそ4度目のグランツール参戦で初めて手にしたステージ勝利に、正々堂々と手に入れたマリア・ローザに、嬉し涙がこぼれた。
好調チッコーネとウラソフは7秒遅れで、レムコ・エヴェネプールとダニエル・マーティンは10秒遅れで山頂にたどり着いた。昨大会総合4位のジョアン・アルメイダに引かれ、好位置についていたはずのエヴェネプールだが、本人の証言によればトンネル内でイネオスの1人と接触しそうになり、位置を大きく落とした。そこから順位を回復したのはさすがとも言える。またステージ前半を大きく盛り上げたカルーゾは、他の主要総合エースたちと共に12秒差でフィニッシュ。アッティラ・ヴァルテルは49秒差で1日を終え、3日間まとったマリア・ローザを脱いだ。
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