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【ジロ・デ・イタリア2021 レースレポート:第9ステージ】2019年ツール・ド・フランス総合覇者が涙のマリア・ローザ「すごく難しい2年間を過ごして来た。メンタル的にも、フィジカル的にも」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか一度は立ち上がって自転車をつかんだモホリッチだが、UCI国際自転車競技連合の定めるルール(13.3.064脳震盪の疑いのある場合は即時レースを棄権させ、精密検査を受けさせること)に従い、救急車で大会を去っていった。同日夜には、本人が「僕は大丈夫。最高にラッキーだった。骨折もなし。ちょっとした脳震盪だけ。今のところは頭痛もない」とSNSに投稿している。
結局のところカルーゾを含む逃げは、総合10位サイモン・イェーツ率いるバイクエクスチェンジの追走で、ほんの少し先でメイン集団に回収された。
さらにもう1度だけ小さな試みが握りつぶされた後、スタートから70km、ついに流れが変わる。サイモン・カーが飛び出し、それに反応した一団が後を追いかけ始めると……グルパマ・FDJがメイン集団前線で横一列に並んだ。忙しすぎる時間はようやく打ち止め。17人の逃げが出来上がり、あっさり3分半ほどのタイム差を許された。
マーダーが乗れなかった集団には、グランツール山岳賞経験者のニコラ・エデ(2013年ブエルタ)、ルイスレオン・サンチェス(2014年ブエルタ)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(2015年ジロ)、ジョフリー・ブシャール(2019年ブエルタ)、ルーベン・ゲレイロ(2020年ジロ)が勢揃いした。さらには総合争いの失敗を区間勝利で取り戻したいジョージ・ベネットを筆頭に、バウケ・モレマ、トニー・ガロパン、ディエゴ・ウリッシと、とてつもない強豪が揃っていた。
しかし17人の中で、最終的になにかをつかみ取れたのは、ただブシャール1人だけだった。1つ目の山岳でもマーダーに続く3位通過を果たしたフレンチクライマーは、続く2つの山で1位通過を成功させ、1日の終わりには山岳賞首位に立った。ただし青ジャージをもらっても、どうやらちっとも嬉しくなかったようだ。インタビュー中には、ベルナルとは違う意味で、涙も出た。
「区間勝利しか追い求めていなかった。それが唯一の目標だった。今日の僕に足りないものなどなかった。脚もあった。前に行く運にも恵まれた。最後は独走にも持ち込んだ。でも勝利の女神は、僕には微笑まなかった」(ブシャール)
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