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【ジロ・デ・イタリア2021 レースレポート:第6ステージ】22歳ヴァルテルが生まれて初めてのマリア・ローザを射止めた「僕には山をこなせる脚がある。人生をかけて戦った」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「あの日得た教訓は、周りのことなど気にせずに、フィニッシュまで全力を尽くさねばならないということ。自分に影響を与えられるものがあるとしたら、それは自分自身だけなのだから」(マーダー)
ジーノ……つまりイタリア自転車界の英雄ジーノ・バルタリと同じファーストネームを持つスイス人の、生まれて初めてのグランツール区間勝利。山岳ジャージさえついてきた。残す15日間もチームと共にアグレッシヴに走るつもりだし、我らが新城幸也のルームメートは、「次は誰か他のチームメートのために喜んで働くつもり」と宣言する。
最終的にマーダーを12秒差にまで追い詰めることになる後続は、やはりイネオスの主導の下で加速を続けていた。すでに70km近く鬼気迫る牽引を行ってきたガンナが、残り10kmまで全力を尽くし、続けてジョナタン・カストロビエホが、後輪パンクにも構わず引き倒した。残り3kmではダニエル・マルティネスが飛び出した。サブリーダーのアタックで、ライバルチーム、特にウルフパックに揺さぶりをかけた。
そして残り2km。満を持して英国軍団のエース、ベルナルが動いた。2019年ツール総合覇者の加速にチッコーネがすかさず張り付き、レムコ・エヴェネプールが背後にライバルを引き連れつつ穴を埋めた。その後もベルナルは何度も畳み掛けた。残り1km、もはや背後に残っているのは、チッコーネ、エヴェネプール、そしてダン・マーティンの3人だけとなった。
ライバルを牽引するエガン・ベルナル
「最後は向かい風が強かった。だから後輪についている選手たちは、むしろ体力を温存することができた。つまり正確には、作戦成功、とは言えないんだ」(ベルナル)
最後の1kmを切ってからも、幾度となくベルナルは加速を試みた。しかしベルナルは他の3人を振りほどけなかった。幸いにもフィニッシュラインでは、3人がスプリントに挑むこともなかった。つまりベルナルは総合争いの直接ライバルたちから1秒も失わなかったし、区間2位のボーナスタイム6秒も手に入れた。
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