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【ジロ・デ・イタリア2021 レースレポート:第4ステージ】ピンクへの秘めた想いを叶えたデマルキが「最後は古来からの法則が完璧に作用したのさ。そう、ネバーギブアップ」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか完璧な戦術やパワーメータの数値に従うだけではなく、「ロマンチックな」、つまり情熱的で勇敢な走りを信条としてきたデマルキは、背後に張り付くライバルたちの動向さえ気にしなかった。自らよりマリア・ローザに1秒近いネルソン・オリヴェイラに、第2中間ポイントで1秒を奪われてしまった後も、駆け引きなど一切しなかった。
区間勝利のジョセフロイド・ドンブロウスキー
「逃げ集団内にマリア・ローザ目指して走る選手が数人いたのは、僕にとって有利だった。だって彼らはジャージを着ようと積極的に前を引く。おかげで僕は彼らの後輪で、少し守備的に走ることが出来た」(ドンブロウスキー)
残り45kmでヘルマンが仕事を終え、2人になったタラマエとユールイェンセンは、徐々に貯金を減らしていった。しかも最後の山は、距離こそ4.25kmと短かったが、勾配はひどく厳しかった。一心不乱に登り続けるデマルキと、最後まで冒険をともにしたドンブロウスキーとの距離は、みるみるうちに縮まっていく。麓で1分あった差は、残り4.5km、山の中腹で0になった。
合流とほぼ同時に、ドンブロウスキーは加速を切り、生まれて初めてのグランツール区間勝利へと向けて飛び立った。本当は3週目の難関山岳のほうが自分向きかも..と打ち明けるクライマーは、マリア・ローザのこともほんの少しだけ考えたようだ。朝の時点で総合の遅れは1分12秒、デマルキに対する遅れは39秒。
もしもの場合に備えて、「とにかく後悔のないようフィニッシュラインまで全力で走った」が、終わってみればステージタイム差は13秒。ボーナスタイムの10秒(2位デマルキは6秒収集)を含めても、総合ではデマルキとの差を17秒縮めるに留まった。
「まあ実際にステージ優勝してみると、マリア・ローザが獲れずに残念、なんていう気持ちは起こらないものだけどね」(ドンブロウスキー)
ドンブロウスキーが30歳の誕生日前日に歓喜を味わったのだとしたら、8日後に35歳の誕生日を迎えるデマルキは、11年目のプロ生活で、初めてのグランツール総合リーダージャージを手に入れた。創設6年目、ワールドチーム昇格2年目のイスラエル・スタートアップネイションにとってもまた、初めてのグランツール総合リーダージャージだった。
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