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サイクル ロードレース コラム 2012年8月31日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2012 第12ステージ

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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上位3人が16秒以内にひしめくという混戦状態で、2012年ブエルタは後半戦へと突入した。勝負の個人タイムトライアルを終えて、マイヨ・ロホ争いの行方はクリアになるどころか、ますます分からなくなっていた。ビッグネームたちの激戦をファンは大歓迎するが、そのせいで、いわゆる総合にもスプリントにも関係ないチームや選手たちは少々とばっちりを受けている。上りがあれば「いつもの4人組」が先に行き、平地はジョン・デゲンコルブ(チーム アルゴス・シマノ)のひとり勝ち。ここまでの12日間で、大逃げ勝利は第4ステージの1回だけ……。

「今日こそ逃げ切れるに違いない、って本気で信じていたんだけど」と語ったのは、ケヴィン・デウェールト(オメガファルマ・クイックステップ)。スタート直後からなんと延々1時間40分・80kmに渡って続いた壮大なるアタック合戦を制して、アマエル・モワナール(BMCレーシングチーム)、ミケル・アスタルロサ(エウスカルテル・エウスカディ)、キャメロン・メイヤー(オリカ グリーンエッジ)と共に飛び出した。プロトンから奪った最大タイム差は7分10秒。ゴール前25kmにきても4分のリードを残していた。前の4人が「いけるのではないか?」と夢を見ても、決して不思議ではなかった。

エスケープ集団の後ろでは、当然、マイヨ・ロホのホアキン・ロドリゲス擁するカチューシャ チームが集団をコントロールしていた。むしろ他の全チームは、一切追走に手を貸そうとしなかった。わずか1秒差で2位につけるアルベルト・コンタドール(チーム サクソバンク・ティンコフバンク)や、16秒差3位のクリス・フルーム(スカイ プロサイクリング)にとっては、もしかしたら、4人が逃げ切ってくれたほうが都合がよかったのかもしれない。プリトにこれ以上ボーナスタイムを取られないために!なにしろ第11ステージ終了時点で、ロドリゲスが手に入れたボーナスタイムは計36秒。コンタドール6秒、フルーム12秒だから……ボーナスタイムさえなければコンタドール1位、21秒遅れでフルーム2位、29秒遅れでロドリゲスが3位と順位は違うものになっていたはずだ。

しかしゴールまで残り25kmとなった地点で、モヴィスター チームが集団前方に配置を始めた。59秒差のチームリーダー、アレハンドロ・バルベルデ(ちなみにボーナスタイムは計28秒)にチャンスをもたらすために。

「区間勝利を狙っていたんだ。でも、ある時点で諦めかけた。『勝機はボクの手の中から逃げていってしまった……』ってね。幸いにもモヴィスターが追走に手を貸してくれたよ。それが上手くいったんだ」(ホアキン・ロドリゲス)

こうしてタイム差は急激に縮まっていった。一旦歯車が回り始めると、スカイやサクソバンクも後ろでただぼんやり眺めているわけにはいかなかった。好ポジションを取るために、プロトン先頭へと競り上がった。細くて、急な最終峠へは、スカイの黒い列車がプロトンを率いて飛び込んだ。

「見晴台」へと誘う坂道の向こう側には、青くて透明な海が広がっていた。しかし美しく、同時にとびきり飛び切り恐ろしい1.9kmの激坂へと入ると、すぐに逃げ集団の淡い望みは完全に打ち砕かれた。それでもアスタルロサだけはラスト1km地点までは単独で粘り続けたが――イゴール・アントン(エウスカルテル・エウスカディ)も勾配16%ゾーンでチームメートの後を追ってアタックを仕掛けたが――、全ては無駄な抵抗に過ぎなかった。ラスト900m。プロトン屈指の激坂ハンター、ロドリゲスがペダルを力いっぱい踏み込むと、エウスカルテルの企ては強制終了へと追い込まれた。

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