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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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難関山岳3連戦の初日に、2人の選手が大きく動いた。5年連続の山岳賞獲得を狙うダヴィド・モンクティエ(コフィディス ルクレディアンリーニュ)と、復活マイヨ・ロホが欲しいアルベルト・コンタドール(チーム サクソバンク・ティンコフバンク)。ついに真打登場!とファンを楽しませるも、両者共に、目標から少々離れたところで1日を終えた。
全長149.2kmの短いステージに峠が5つ。全ての山岳ポイントを先頭で通過すれば、計31pt獲得できる。前日までの山岳賞首位の保持ポイントが22ptだったから、一気に青玉ジャージを奪い取れる可能性もある。こうしてモンクティエは、過去4度の山岳ジャージ獲得パターンに則って、大逃げ勝利+ポイント荒稼ぎを目論んだ。17kmで出来上がった16人のエスケープ集団に、上手く滑り込んだ。
ただし手強いライバルが、集団に紛れていた。第4ステージの大逃げ勝利で、すでに山岳16ptを手にしていたサイモン・クラーク(オリカ グリーンエッジ)だ。1つ目の峠こそモンクティエは先頭通過を果たすものの、以来、3峠連続でクラークに山頂スプリントを仕掛けられた。そして2日連続の大逃げで疲れているはずのオーストラリア人に、全てトップの座を奪い取られてしまう。しかも2位通過さえセルジュ・パウエルス(オメガファルマ・クイックステップ)にことごとくさらわれて……。37歳の大ベテランは、2つ目から4つ目までは3位通過で甘んじるしかなかった。
しかも後方集団の急速な追い上げに、逃げ切り勝利さえも不可能だった。「もはやこれ以上体力を使っても無駄だ……」と判断したのだろうか。それとも、ツール・ド・フランス第12ステージの下りで落車し、負傷リタイアに追い込まれた悪夢が蘇ったのか。4つ目の峠からの下りで、モンクティエは静かに先頭集団から離れて行った。
終わってみればモンクティエが手にしたのは、たったの9pt。大切な青玉ジャージは、この日だけで18ptを獲得したクラークの手に渡った(通算34pt)。もちろん3連戦の残り2日で、まだ66ptを積み上げる可能性は残っている。人生最後のグランツールを戦うモンクティエが、有終の美を諦めてしまうのはまだ早い。いままでだって大逃げ勝利を逃したこともあるし(2009年第8ステージは最終峠で吸収。第13ステージに再度挑戦して勝利を手にした)、勝ったはいいがジャージが取れなかったときだってあった(2011年は第11ステージ勝利も、ジャージを取るために第13ステージに再度の逃げを打った)。
ただしポイント収集目的のロングエスケープはまだまだ可能でも、……総合優勝争いの選手たちが、山頂フィニッシュ勝利をモンクティエに簡単に許してくれるかどうかは定かではない。例えばこの第14ステージは、エスケープ形成直後からサクソボーイズが全員プロトン前線に上がってコントロールに着手した。逃げ集団には最大3分10秒ほどしかリードを与えず、メインプロトンに関しては後方からどんどん脱落者を千切って行った。
追い詰められた前方の16人は、4つ目の峠でばらけ出した。さらに山頂を越えると、アルベルト・ロサダ(カチューシャ チーム)が単独で先を急ぎ始めた。ご存知の通りロサダは、普段はロドリゲスの忠実なアシストである。今年のジロ第15ステージでは、長い逃げの果てに……自らのプロ入り初勝利のチャンスをふいにしてまで、ラスト1km地点でロドリゲスの牽引役を務めたほど。そしてこの日も、吸収され、完全に後退してしまう前に、ロサダは最後の力をプリトに捧げることになる。
「サクソバンクの制御は厳しかった。でもボクらは心静かに走ることができたよ。だって逃げ集団にロサダが入ってくれたからね。彼は本当にいい仕事をしてくれた。それにボクの側には、ダニエル・モレーノがついていた。最後の最後に、この2人のチームメートがボクを助けてくれた。コンタドールの最初のアタックは、あまりにすごかったから、ボクは無理して付いていかなかった。自分のリズムで上ることに決めたんだ」(ホアキン・ロドリゲス)
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