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ロドリゲスは1年前に最終日マドリードの、まさにフィニッシュライン上で、ポイント賞首位から転落した苦い経験を持つ。もちろん今年だってマイヨ・ロホに続いて、マイヨ・プントスを失いたくないはずだ。最終的にはチームメートに先頭通過の使命を託し、ライバルたちのポイント収集のチャンスをきっちりと封じ込めた。ちなみにポイント賞2位バルベルデや3位コンタドールはもちろん、数字の上ではデゲンコルブをいまだ排除することはできない。ゴール後には両者のポイント差は58pt→46ptへと縮んだ。たとえアルゴス・シマノのコーチ陣が「もはやジャージは狙っていない。そもそも、現実的にはもう無理だよね。区間勝利だけに集中していく」と語ってはいても、残り3ステージで逆転の可能性は残っている。
カチューシャの後を引き継いで、隊列を組んだのはスカイ プロサイクリングだった。クリス・フルームの表彰台の夢はすでに砕け散っていたが、ベン・スウィフトの区間勝利にチームは望みを切り替えた。ロンドン五輪でマーク・カヴェンディッシュを1日中牽引し続けたイアン・スタナードやフルームが、強烈なリズムを刻んだ。ゴール前600mの最終カーブに先頭で突っ込んで行ったのも、やはりスカイだった。そして24歳のスウィフトが、ロングスプリントを切った。
過去4度の集団スプリントなら、ここでデゲンコルブがすぐに敵の後輪へと飛びついたものだ。しかしこの日、23歳のビッグスプリンターは控え目でいることを強制された。ライバルスプリンターに邪魔されたせいで、思い通りに動けなかった。代わりにレディオシャックのベテランが、絶好のポジションに入り込んだ。
「今日のデゲンコルブはどこにいたの?彼を見なかったなぁ。でも、スプリントとは毎回違うもの。確かにここまでは、デゲンコルブがスプリントを圧倒してきた。でも彼の4勝のうちのいくつかは、他のスプリンターのミスに乗じて勝ったものでもあるんだよ」(ダニエーレ・ベンナーティ)
約20日後に32歳の誕生日を迎えるベンナーティは、「ひどく長いスプリント」の果てに、ライン直前でスウィフトを追い越すことに成功した。センチメートル単位の勝利はまた、2007年ブエルタでポイント賞を手にした「元」ビッグスプリンターにとって、1年ぶりのグランツール区間優勝だった。
「この勝利はワウテルに捧げる。彼の勝ったこの町で勝てるなんて、ものすごく感動的だね。ボクらは友達であり、チームメートでもあった。たくさんの時を共にしてきた。今日のレースでは、彼がボクに力と勇気をくれた」(ダニエーレ・ベンナーティ)
2011年ジロ最終日にマリア・ローザで走って以来――剥奪されていないジャージとなると、2009年ツールの最終日以来だが――、久しぶりにグランツールリーダージャージで走ったコンタドールは、笑顔で1日を終えた。
「このジャージが嬉しいし、誇らしく思う。昨日のステージよりずっと簡単だったね。何の問題もなくゴールを迎えることができた。ロドリゲスやバルベルデと走りながら話をする機会だってあったくらいだよ。昨日の出来事についても思いをめぐらせた。レースをひっくり返すのがどれほど辛かったか……ってね」(アルベルト・コンタドール)
総合争いに変化はなかった。ハイスピードで走り切ったプロトンのおかげで、まだ日の高いうちにステージは幕を閉じた。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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