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最終峠は全長8.1kmのナバセラーダ登坂+3.3kmのボラ・デル・ムンド登坂という2部構成となっている。その、ナバセラーダへの突入とほぼ同時に、数度のアタックが勃発。先頭集団はあっという間に小さくなった。最終的に生き残ったのはポート、メンショフ、そして本来ならば総合トップ10入りを目指して大会入りしたはずのケヴィン・デウェールト(オメガファルマ・クイックステップ)のみ。痺れを切らしたアントンが、ついに後方から単独での追走を試みるも、結局はこの3人の後姿を拝むことすらできなかった。
そこから道幅も、勾配も、アスファルトの質もがらりと変わる。ボラ・デル・ムンドへと足を踏み入れると、勝負はすぐにメンショフとポートの2強に絞り込まれた。細く険しい道を熱狂的な観客がびっしりと埋め尽くし、人々の声と腕に後押しされながら、両者は山を駆け上がって行く。そして世界球のてっぺんにそり立つ電波塔が、ほんの目の前に迫ったその時、メンショフが大きな加速を1度だけ見せた。
「今朝のプランは逃げに乗って、できる限り前方に留まること。最終盤ではきっとロドリゲスがボクの助けを必要とするに違いない、と常に考えていたんだ。終わってみれば、チームにとっては非常によいブエルタとなった。表彰台に選手を送り込めたし、こうしてステージも勝てた。これ以上、望むことはできないくらいだよね。ボクに関して言えば、勝つことができて本当に嬉しい。安堵の気持ちでいっぱいだ。このところ、思うような走りを見せられずにいたからね。すごい達成感だよ」(デニス・メンショフ)
2005年・2007年大会を制した34歳の大チャンピオンにとって、これが5つ目のブエルタ区間勝利。スペイン一周での5年ぶりの区間勝利はまた、2009年ジロ以来となるグランツール区間勝利となった。
そして後方では、2012年大会を最初から盛り立ててきた3人のスペイン人チャンピオンが、最後の勝負地で最後の戦いへと挑んでいた。総合2位の座を堅守したいバルベルデが、ボラ・デル・ムンド突入前に真っ先にアタックを仕掛けた。46秒差をひっくり返して総合2位浮上を目指すロドリゲスは、アシストのダニエル・モレーノと共にラスト2.5kmで加速した。マイヨ・ロホのコンタドールは、2人の動きをじっと見守った。
「ロドリゲスとバルベルデが、遠くからアタックをかけてこないだろうことは分かっていた。バルベルデが最初に加速したときは少しだけ心配になったけれど、きっちりと応えることができた。その後は1kmゴールに近づくごとに、総合勝利が近づいてくることを感じたんだ。そしてロドリゲスがラスト1.5kmでアタックしたときには、もはや何の心配もしていなかった」(アルベルト・コンタドール)
濃霧の中で繰り広げられた2年前のモスケラvsニーバリを分析し、「タイム差はほとんどつかないだろう」とコンタドールは判断していたという。だから軽くダンシングしながら、観客の波に消えていくロドリゲス姿を心静かに見送った。フルームこそが最大のライバル……と予想されていた今大会、蓋を開けてみれば、コンタドールを一番苦しめたのは「エル・プリト」だった。
「今年のロドリゲスは本当に強かった。特に山頂での一騎打ちではね。毎回、ボクがアタックして、毎回、スプリントで彼にやっつけられた。でも最終的には、最大のライバルは自分自身なんだけど」(アルベルト・コンタドール)
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