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サイクル ロードレース コラム 2012年9月9日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2012 第20ステージ

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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午後の早い時間にはみぞれまじりの雨に襲われたボラ・デル・ムンドだが、選手たちが山にたどり着く頃には、太陽が再び顔を出した。それでも山の空気はひんやりと冷たい。灼熱の大地で繰り広げられてきた真夏の戦いにも、終わりが近づいていた。

それぞれの3週間をなんとか美しく締めくくろうと、スタートから18km地点で20選手が飛び出した。胸に抱く野望とはもちろん区間勝利であり、チームエースのためであり、人によっては汚名返上だったかもしれないし――たとえばディフェンディングチャンピオンのフアンホセ・コーボ(モヴィスター チーム)――、そして副賞ジャージだった。

とりわけサイモン・クラーク(オリカ グリーンエッジ)は、第4ステージの大逃げ勝利+第14ステージの逃げで身にまとった山岳賞ジャージを、どうにかしてマドリードまで持ち帰りたいと熱望していた。わずか2pt差のホアキン・ロドリゲス(カチューシャ チーム)や7pt差のアレハンドロ・バルベルデ(モヴィスター チーム)に逆転されないためには、ステージ序盤から思い切ってポイント収集に動くしかない。こうして1級ナバフリア(10pt)、2級カネンシア(5pt)、1級ラ・モルクエラ(10pt)を次々とトップ通過。この日4つ目の峠、1級コトスではポイントは取れなかったけれど……この山で、クラークのオーストラリア人として史上初めてのグランツール山岳賞が確定した。ロドリゲスとのポイント差は27ptに開き、たとえ最終峠で最大ポイント(20pt)を取られても逆転されることはない。24時間後にプロトンへ別れを告げるダヴィド・モンクティエ(コフィディス ルクレディアンリーニュ)から、大切な青玉ジャージを引き継いだ。あとはマドリード・シベレス広場のフィニッシュラインまで、無事に走り切るだけだ。

「ボクは決してヒルクライマーではない。単にチャンスを上手くつかんだだけ!このブエルタでは、チャンスを全て獲りに行った。ずっと壁をぶち破れるような成績を追い求めてきたんだけれど、ステージ勝利とジャージがいっぺんにやって来た。ついに突き抜けたんだ」(サイモン・クラーク)

プロトンでは、マイヨ・ロホのアルベルト・コンタドール擁するチーム サクソバンク・ティンコフバンクが、淡々とした集団制御を心がけていた。カチューシャが2人、モヴィスターが1人、エスケープに選手を送り込んでいたからだ。もしも接近しすぎてしまった場合……アシストを発射台としてロドリゲスやバルベルデが飛び出してしまう可能性もあった。しかしタイム差が10分半ほどに開いたゴール前80km、オレンジ色のジャージに主導権を横から奪い去られた。

「厳しく難しいステージだった。カチューシャとモヴィスターのやる気が高かったし、しかもエウスカルテル・エウスカディがハードな追走を始めてしまった。あそこから、さらに戦いが難しくなったんだ」(アルベルト・コンタドール)

この3週間、区間争いでも総合争いでも、何もいいところを見せられなかったエウスカルテル・エウスカディは、最後のチャンスをつかもうと走り始めた。イゴール・アントンのために全員隊列を組み、上りでも下りでも必死に攻め立てた。ところが思ったようにタイム差は小さくならない。

なにしろ逃げの20人は強豪揃い。上述のコボに加えて、第11ステージの個人TT勝者フレデリック・ケシアコフに2009年ジロ新人賞ケヴィン・シールドラーエルス(共にアスタナ プロチーム)、2006年ツール・スーパー敢闘賞ダビ・デラフエンテ(カハルラル)。この夏のツールではブラドレー・ウィギンスを総合優勝に導き、ブエルタではクリス・フルームのスーパーアシストを務めたリッチー・ポート(スカイ プロサイクリング)。なによりジロ総合優勝1回・ブエルタ総合優勝2回を誇るデニス・メンショフ(カチューシャ チーム)!そうそうたるメンバーが力を合わせて逃げ続けたおかげで、ゴール前15kmに近づいても、先頭集団は5分半近いリードを保っていた。

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