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なにより20番〜22番スタートを切った「TTスペシャリスト」3チームは、いずれも信じがたい結果に終わった。昨年のチームタイムトライアル覇者ガーミン・シャープは、25秒遅れの22分30秒。今季ツアー・オブ・カタールでチームTTを制したBMCレーシングチームは、37秒遅れの22分42秒。昨年はティレーノ〜アドリアティコとエネコ・ツアーのいずれでもチームTTを勝ち取っているオリカ・グリーンエッジは、28秒遅れの22分33秒。すなわち、1年前はチームTTのリードを元手にジロを制したヘシェダルは、ウィギンスに早くも25秒、ニーバリに11秒もの遅れを喫したことになる。2011年ツール勝者のエヴァンスも、37秒差という痛いハンディキャップを喰らった。
マリア・ローザ姿のマーク・カヴェンディッシュを乗せて、華やかに最終出走を飾ったオメガファルマ・クイックステップも、奮闘むなしく48秒遅れに散った。確かにチーム自体は、UCIチームタイムトライアル世界チャンピオンだ。しかし2012年秋にオランダのアップダウンTTコースを制したメンバーは、1人もイタリアに来ていない。カヴェンディッシュはたった1日限りで、「キング・オブ・スプリンター」の証である赤いジャージに着替えた。前日に落車しながらも、カヴのために必死に働いたジェローム・ピノーは、「もちろん、風向きが変わったせいなんだ。でも、それだけじゃ、ここまでひどいタイムになるわけはないのにね」と肩を落とした。
そしてピンク色の栄光を身にまとったのはウィギンス……ではなく、グランツール初体験の23歳、サルヴァトーレ・プッチォだった!ニーバリと同じシチリア出身の若者は、2日間の区間順位の総計(33位+4位)がチームの他の誰よりも小さかったのである。
「表彰式のほんの2分前くらいに、自分がマリア・ローザを着るんだ、って理解した。正直に言えば、チームの計画によればダリオ・カタルドにリーダージャージが行く予定で、ボクは新人賞ジャージが獲れたらいいなと思っていたんだ。でも、ボクにマリア・ローザが来ると聞かされて、衝撃を受けたよ。今日はなかなか寝付けないだろうな」
チーム全員でシャンパンファイトを思う存分楽しんだ後、1人でピンク色のジャージをまとって再び綺麗な泡を撒き散らしたプッチォは、この先ももちろん、現在総合2位につける英国人のために働く。戦いの主導権はウィギンスの手の中に渡った。ニーバリが14秒差、スカルポーニ22秒差、ヘシェダル25秒差と続く。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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