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ただ、決して望んではいないやり方で、ミケーレ・スカルポーニだけは大きく退けた。眩暈がするような急カーブで、2011年ジロ覇者は、自転車を壊すほど激しく地面に転がり落ちた。アシストは周囲に1人もいなかった。危険な下り坂では、チームカーどころかニュートラルサービスさえもすぐには駆けつけてくれなかった。最終的にはメイン集団から44秒ものタイムを失うことになる。2人を後方に下げた(と言われている)ウィギンスには、幸いにも事故はなく、そもそもいまだ2人のアシストが抜かりなく身辺護衛を務めていた。
ヘシェダルがつかめなかった絶好機だが、パオリーニはがっちりと両手でつかみとった。この春、凍えるような大気の中でヘット・ニュースブラッドを制し、いわゆる「平地系」クラシックを転戦してきたイタリア人が――起伏の激しいジロ・デ・ロンバルディアで4位に入った経験はあるが――、グランツールオールラウンダーたちの登坂にしがみつき、そして下りで全てを解放した。
「まさにクラシックレースを走っているつもりで走ったんだ。全てが思い通りにいった。最後の上りはすごくきつかった。なにしろリズムが極めて速かったからね。でも、全力を搾り出した。それから、最高のダウンヒルができた」
36歳の大ベテランながら、ジロ出場は生まれて初めて(ツールとブエルタはそれぞれ3回出場)という珍しい経歴の持ち主は、初めてのチャンスを勝利へ結びつけた。マリア・ローザさえもかっさらった。今や伝説的チームともなったマペイから13年前にプロ入りしたパオリーニは、そのマペイの養成所で叩き込まれた選手哲学「頭・心・脚」を武器にして。
「今日勝てたら、マリア・ローザを取れることは分かっていたんだ。だからフィニッシュラインを越える瞬間を、心から満喫したよ。このジャージをパパに捧げたい。実は今日、父は簡単な手術を受ける予定になってたから、『勝つよ』って約束してたんだ」
パオリーニが喜びを爆発させた16秒後には、凄まじいスピードで小集団がフィニッシュラインへと雪崩れ込んだ。2位と3位に与えられるボーナスタイムを巡って、多くの総合ライダーがスプリントへと打って出た。前日チームTTで37秒を失ったカデル・エヴァンスが、2位に滑り込んで12秒を取り戻し、果敢なる賭けを成功させられなかった埋め合わせとして、ヘシェダルが3位8秒を手に入れた。
スカイはわずか1日でマリア・ローザを失ったけれど、結局のところウィギンスは総合2位のままで、あらゆる総合ライバルの上位に立っている。ニバリとの差は14秒で動かず。ヘシェダルとの差は17秒に、エヴァンスとの差は25秒に縮まり、スカルポーニとの差は1分5秒に広がった。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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