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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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1回目の休養日を終えたプロトンは、体を休めて、気持ちを切り替えて、今大会初めての頂上フィニッシュへと挑みかかった。残念ながら休養日でリズムを崩したり、休養日前の不調を完全に払拭できない選手も多かった。第1週目から小さな疑問符を点灯させていたスカイ プロサイクリングは、歓喜を味わった一方で、混迷の度合いをさらに深めた。
スロベニアとオーストリアの国境付近まで一気に北上したジロ一行は、ようやく、頭上のしつこい雨雲を振り払った。代わりに足の下には、難しい山道が延びていた。ステージ序盤の、いまだ道が平坦な隙を狙って、大量の14人がエスケープへと飛び出した。中でもガーミン・シャープが、トーマス・デッケルとデーヴィッド・ミラーの2人を、前方集団に滑り込ませた。休養日前夜に「調子は悪くなかった、単なるタイミングが悪かった」せいで、総合ライバルたちから1分近いタイムを失ったライダー・ヘシェダルの、「もしも」の場合に備えたのかもしれない。ただしメインプロトンに最大8分ほどのリードを奪った先頭集団から、(おそらく)後方のリーダーのために一肌脱ごうと真っ先に動いたのは、アンドローニジョカットリ・ベネズエラのジャクソン・ロドリゲスだった。
ゴールまで53km地点、1級峠の登坂中に、ロドリゲスは1人で飛び出した。ほぼ同じ頃、約5分ほど後ろを走っていたメイン集団からは、ディエゴ・ローザに連れられてフランコ・ペッリツォッティがアタックをかけた。緑白赤のジャージを身にまとうイタリアチャンピオンは、4年ぶりのイタリア一周を走っていた。2009年ジロを総合3位で終え、同じ年のツールでは山岳賞を手にしながらも、スポーツ仲裁裁判所の決定で成績を剥奪されたヒルクライマーは、名誉回復の一撃を虎視眈々と狙っていた。しばらくローザを風除けに走った後は、自力で、一番前で待つチームメートの元へと急いだ。
スカイが制御を始めていたプロトンは、ペッリツォッティを追いかけたわけではなかった。しかし、確実なる加速を始めていた。加速を急ぐ理由があった。なにしろ、この上りで、ディフェンディングチャンピオンのヘシェダルが、遅れ始めたのだ。
本日最大の使命が「ライバルチームのリーダーたちを限界まで押しやること」(カンスタンティン・シウトソウ)だったアシスト軍団は、積極的にリズムを上げていく。1週目には体調不良のせいで、食事が思うように取れなかったというダリオ・カタルドも、頼もしい山岳アシストの脚を取り戻していた。一方でセルジオルイス・エナオモントーヤには、いつもの元気はなかった。またマリア・ローザのヴィンチェンツォ・ニーバリ擁するアスタナ プロチームは、ステージ前半は9人全員で前を引いていたが、峠に入ると一歩前線から引いた。山岳アシストのパオロ・ティラロンゴが病気から回復途中だったし、ファビオ・アールは逆に体調を崩してしまった。だから「あまり危険は冒さず、スカイの仕事に警戒しながら走る」(ニーバリ)ほうを選んだ。
果敢なる奮闘を続けたペッリツォッティは、着々とスピードを上げていくメイン集団に、結局はゴール前25kmで飲み込まれることになった。先頭を走るロドリゲスには――2度の自転車交換で大幅にタイムを失ったというのに――、最後まで合流できぬままだった。代わりに逃げ集団にいたセルジュ・パウエルスが、ベネズエラ人に追いついたが、彼らもまたゴール前10km、最後の上りで強制的に前から引きずりおろされた。
スカイのアシスト勢は、見事な山岳列車を走らせていた。やはりゴールまで10kmを残す頃には、シャビエル・ザンディオやシウトソウは任務を終え後ろに下がったけれど、カタルドとリゴベルト・ウランが元気に前方を引いていた。エナオもブラドレー・ウィギンスの側についていた。ニーバリの脇にはヴァレリオ・アニョーリしか残っておらず、総合2位カデル・エヴァンスが一人ぼっちだったのとは対照的に!しかもゴール前8kmでは、ウランが加速を仕掛けた。
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