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2011年ジロ総合覇者スカルポーニの積極策は、ニーバリ自らが潰した。一気にメイン集団も絞り込まれた。あれだけ働いてきたカチューシャとレディオシャックは、誰も王者たちの加速には付いていけなかった。なにより集団の中には、総合表彰台までわずか1秒差の、マウロ・サンタンブロジオの姿がなかった。
そして200km近く逃げてきたエスケープ集団には、後ろからの圧力を押し戻す余裕など残っていなかった。……ただ幸いにもピラッジィは何とか山頂を2位で通過し貴重なポイントを収集できたし、第11ステージを制したナヴァルダスカスは、総合の強豪たちに混ざって区間4位に入っている。
あとはゴール間際まで、終わりのないだまし合いが繰り広げられた。その全てをアスタナが、いやむしろニーバリ本人が完璧にコントロールした。山頂直前で2位3回のベタンクールが飛び出し、下り巧者のサムエル・サンチェスが特攻を仕掛け、スカルポーニも追随すると、ニーバリが蓋を閉める。平地に入ってスカルポーニが先に行こうと試みると、マリア・ローザが背中にピタリ張り付く。さらにはアシストのタネル・カンゲルトに、ゴール前7.5kmでアタックさえ打たせた。
「彼にアタックするよういったんだ。ステージを勝って、ボーナスタイムを潰すように、って。チームはステージ勝利を追い求めていたし、カンゲルトの調子も非常に良かったからね」(ニーバリ)
総合3位リゴベルト・ウランが加速したため、一旦計画は中止された。それでもシチリアっ子がコロンビア人をしっかり捕獲すると、再びエストニア人を前に送り出した。そして一緒に出て行ったロベルト・ヘーシンクとベナト・インサウスティ、プリジミスラウ・ニエミエツの監視に当たらせておいた。後ろに残ったニーバリには、頼もしい22歳のファビオ・アールが付いていた。相変わらずアタックの波は収まらなかったが、12人に小さくなった集団を、2人は最後まで無事に制御し切った。
「簡単なステージになるかなと思っていたけれど、そうは状況が許さなかったね。休養日があけて、多くの選手たちが体力を回復してきたようだ。最後の下りでは、タイム差を開こうとは考えなかった。ただコントロールだけを心がけた。よい1日となった。満足している」(ニーバリ)
そんなニーバリやアスタナが、ほんのちょっとだけ失望したのだとしたら、やはりカンゲルトが区間勝利を上げられなかったことだろう。ヘーシンクがメカトラで脱落し、インサウスティとニエミエツと3人になった後、忠実なアシストは「総合争いで危険な方」を警戒することに決めた。つまりゴールスプリントでも、総合6位につけていたニエミエツのホイールにひたすら付いて行ったのだ。
その隙を総合10位だったスペイン人は見逃さなかった。道の反対側へ勢い良く滑り出すと、そのままフィニッシュラインを鮮やかにさらいとった。昨ブエルタでチームタイムトライアル優勝の経験を持つ27歳にとっては、生まれて初めてのグランツール「個人」区間勝利。またチームにとってはアレックス・ダウセット、ジョヴァンニ・ヴィスコンティに続く今大会3つ目の勝利だった!
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