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しかし、カヴェンディッシュが苦しみ、じわじわと遅れ始めていたメイン集団から、もう1人、後を追ってくる選手がいた。ほんのつい4日前、ガリビエの山頂で栄光をつかみ取ったばかりのジョヴァンニ・ヴィスコンティだ。まるで矢のように突進してきた!
「新しい男に生まれ変わったような気分なんだ。ずっと捜し求めていた区間勝利を手に入れて、しかも伝説的なガリビエで区間を制して、気持ちの迷いがなくなった。メンタリティは完全に変わった。何も怖くなくなったんだ」(ヴィスコンティ)
恐れを知らぬ男は追いつき、そして置き去りにした。「あまりにも『勝ちたい』という気持ちが強すぎるせいで、戦術ミスを犯してしまっているのかもしれない。焦りから、仕掛けるタイミングが早過ぎるんだと思う」と肩を落とす37歳の大ベテランを振り払い、さらにコロンビア人を執拗な加速で千切った。ラスト17kmで単独先頭に立つと、下りを利用して、ゴールまでのタイムトライアルに打って出た。
「全くパニックになることなく、走り続けた。ただ1kmずつ流れるように過ぎ去って行った。なんだかステキな感覚だったよ。上手く言葉では表現できないけれど」(ヴィスコンティ)
さらに幸いなことには、背後の集団は、追走のために一致団結する気がまるでなかった。てんでバラバラに飛び出しては、誰かがそれを阻止する。猛烈に加速したり、睨み合いで減速したり。しかも最終数キロは、道幅は細く、カーブが多く、一定速度を保つことさえ難しい。そんな中でも、マリア・ローザのヴィンチェンツォ・ニーバリは、3人のアシストに守られて、快適な時を過ごした。総合ライバルたちも、無茶はしなかった。
「今日はお祭りのような1日だったね。ジロの沿道にこれほどの人々が応援に駆けつけてくれるなんて、ほんとうに感動的だ。素晴らしいステージだった。最終盤には、見事なバトルも繰り広げられた」(ニーバリ)
カンパニョーロのお膝元へ向かって、カンパニョーロのコンポーネントを使用するヴィスコンティは、ひたすら突き進んだ。ガリビエでのてっぺんでは、疲れと寒さのせいで、ゆっくりと勝利のジェスチャーを披露している余裕はなかったけれど、この日はたっぷり250mかけて勝利を味わった。嬉し涙が止まらなかった。
「ガリビエを勝つずっと前から、今日のステージに狙いをつけていたんだ。だから上りでチャンスに賭けてみることにした。最終コーナーを曲がった後は、全てがまるで夢のようだった。残り50mではすでに、明日の新聞に掲載されるであろう写真のことさえ考えた!写真はぜひとも家の壁に飾りたいね」(ヴィスコンティ)
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