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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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ステージ上にたった1つ突き出した小さな4級峠が、スプリンターチームの1日がかりの仕事を台無しにした。マーク・カヴェンディッシュは、自分自身へ28歳の誕生日プレゼントを贈ることができなかった。いまだ赤いジャージをかろうじて肩に引っ掛けているけれど、最終日ブレシアの表彰台の上で笑っていられるかどうかは、もはや分からなくなってしまった。
214kmの長いステージのうち、最後の22kmを除けば、道は至極平坦だった。5月らしい爽やかなお天気にも恵まれ、サイクリングには絶好の1日だった。すでに区間を制したマキシム・ベルコフに、ルーク・ダーブリッジ、ミゲール・ルビアーノ、ヘルト・ドックスをあわせた4選手の逃げも、残り100kmを切るまでは、比較的のんびりとしたペースで執り行われた。はるか後方では、当然のようにカヴ擁するオメガファルマ・クイックステップが、静かに制御に務めていた。
ゴール前90kmほどになると、前の4人がいよいよ本気を出し始めた。3分程度しかなかったタイム差も、5分以上に広がった。しばらくすると、今度は後方が本気の追走に切り替えた。ゴール前70kmあたりから、キャノンデール プロサイクリングやチーム アルゴス・シマノがオメガファルマに手を貸し、タイム差をじわじわと縮めて行く。
他の2チームの目的は、当然、自前スプリンターに区間を勝たせること。一方のカヴには別の目的があった。それはポイント賞ジャージのために、できるだけポイントを稼ぐこと。ちょうど1年前のイタリアでは、第20ステージの終わり、つまり最終日前日に赤ジャージを失った。たったの1ポイント差で……。そして2013年ジロの第16ステージ終了時点では、ポイント賞2位につけるカデル・エヴァンスとのリードは6pt。この先に山岳タイムトライアル+難関山岳ステージ2つが残っていることを考えると、もはや1ptだって無駄にできない。だから終盤に2回登場した中間スプリントポイントでは、いずれも集団からほんの少し飛び出して、5位通過をきっちり取りに行った。2pt×2回でひとまず4ptを懐に入れた。次に狙うはステージ優勝と、25ptだったはずだった。
ところが峠の入り口が近づいてくるに連れて、雲行きが怪しくなってきた。ヴィーニファンティーニ・セッレイタリアが集団前方に4選手を配置し、猛烈な先導を始めてしまったのだ。ランプレ・メリダも大いに前方で存在感を見せ始めた。ゴール地ヴィチェンツァから15kmほどの街で生まれ育った、フィリッポ・ポッツァートを勝たせるためだった。スプリントを阻止したいチームとスプリントに持ち込みたいチームとが、熾烈なポジション争い繰をしながら、ゴール前22km、ついに4級峠に飛び込んだ。
エスケープには、もはや1分ほどしか余裕はなかった。しかも登坂と同時に、勝手に他の選手たちは力尽き、ただルビアーノ1人だけが先頭に残されていた。同じ頃、メイン集団ではヴィーニファンティーニが、ついにアレッサンドロ・プローニとダニーロ・ディルーカの2人を前に送り出した。さらにブローニが発射台となり、ディルーカが飛び出した。今大会幾度となくアタックやエスケープを繰りかえしてきた2007年マリア・ローザは、すぐにルビアーノを捕らえると、勇んで突進を始めた。今度こそ復活勝利を手にいれるために。
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